いま、韓国国会で進行している国政監査(政府の政策や予算の執行状況など、行政全般を監視する韓国国会独自の制度)で、日本車をめぐる報告に一部の国会議員が怒りを露わにしている。昨年、韓国の在外公館が購入した外国車の3分の1が日本車だったことが判明したのだ。
与党「共に民主党」の金炅俠(キム・ギョンヒョプ)議員が国政監査で発表した内容によると、韓国の在外公館が購入した外国車は、2019年は14台、2020年は15台で横ばいだったが、19年に14.3%だった日本車の割合が、20年は33.3%に倍増していた。
これを受け、金議員は「国民感情に合う行政ではない」と、日本の外務省に相当する外交通商部の公務員を叱責した。
国際常識を鑑みれば、在外公館が業務の便宜上から外国車を利用することは何の問題もない。しかし、「ノージャパン」を推進してきた韓国与党議員にとっては、日本車の存在は目の敵のようなものだったようだ。
2019年からはじまった「ノージャパン」運動
韓国最高裁判所が日本企業に対して賠償金支払いを命じた、いわゆる徴用工判決や慰安婦合意破棄などで日韓関係が冷却するなか、2019年7月、安倍内閣は韓国向け先端素材の輸出管理強化に踏み切った。韓国政府はこれに強く反発し、文在寅大統領は同年8月2日、青瓦台(韓国大統領府)で開かれた国務会議で「われわれは二度と日本に負けない」と述べ、日本政府に対抗する姿勢を公式化した。
そして、韓国政府と与党「共に民主党」を中心に、日本製品を買わない、使わない、日本に行かないという「ノージャパン」運動が広がった。 韓国国民は日本旅行やユニクロなどの日本製品の購入を忌避し、大手スーパーの店頭からは日本製ビールが消えた。
当時、韓国メディアは連日のように不買運動を報道し、日本製品の購入を“売国的な犯罪行為”であるかのように扇動するなど、韓国内の「ノージャパン」は異様な盛り上がりを見せていた。
その運動の中で、日本車も当然のように打撃を受けた。 2019年7月23日、仁川市の繁華街で行われた「日本不買運動宣言イベント」では、地元の商工業者らが凶器を手にレクサスを破壊し、SNSでは「日本車に車線を譲ることはやめよう」との呼びかけが広がった。