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裁判官がどんな判決を下したかを見ることができる

 例えば、上記の「夫婦別姓訴訟」と「1票の格差訴訟」の他にも「『表現の不自由展』施設の利用を認めるか」や「泉佐野市のふるさと納税返礼品訴訟」といった大きな話題を呼んだ裁判例から、「アルバイトにボーナス支給しないのは不当?」や「GPSでの位置情報把握はストーカー行為?」といった比較的知名度の低い裁判例まで並んでいる。それぞれ、どういった概要の事件で、どの裁判官が関わったのかがまとめられている。興味のある裁判例を読むだけでも投票の参考になるだろう。

特に注目度の高かった訴訟については各自の見解も見ることができる NHK特設サイトより

 特に2021年6月に決定がなされた「夫婦別姓訴訟」は男女平等意識の高まりから、その判断の行方が非常に注目された裁判だ。

 この裁判は、結婚するカップルが「夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する」ということを記載して婚姻の届出をしたところ、受理されなかったことが、憲法の定める男女平等に違反するとして届けを受理するよう要請した裁判だ。夫婦同姓を定める民法が合憲か否かが判断の論点となった。

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 決定は、夫婦同姓を定める現行法が憲法違反であるか否かという問題と、夫婦の姓についてどのような制度であるべきかという問題は別次元である、としたうえで、夫婦同姓を定める現行法は憲法に違反していない(=合憲)となっている。

 この裁判には15人の裁判官が出廷し、合憲と判断した裁判官は11人(このうち、今回の審査対象裁判官は4人)、違憲と判断したのは4人(このうち審査対象裁判官は3人)である。ただし、合憲判断をしたからといって夫婦別姓賛成派と敵対しているとは限らない。合憲と判断しながらも、補足意見を述べている裁判官もいる。