同じ「合憲」判断でも裁判官ごとに理由は違う
今回の審査対象裁判官の中では、深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官が合憲と判断しながらも補足意見を述べている。それによると、上記3人は「夫婦同姓を強いられることでの社会的不利益やアイデンティティの喪失がある」ことを認め、「選択的夫婦別姓を求める国民意識がある」ことにも触れている。
それでも「法律を変えるほどの国民意識の高まりはない」としながら「国会において、この問題をめぐる国民の様々な意見や社会の状況の変化等を十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」という言葉で締めくくっている。
NHKがこのような特設サイトで国民審査を詳しく取り上げたのは今回が初めてだという。今までこういった最高裁判所裁判官に関する情報をまとめたサイトがなかったためか、反響は上々のようだ。NHKはこう語る。
「ありがたいことにたくさんの方にアクセスしていただいています。SNS 上では『事件ごとに判断がのっていてわかりやすい』『期日前投票の時点で公報が配布されていないので助かった』など多くの反響がありました。
記事の執筆には司法取材専門の記者も携わっていますが、サイトを作るにあたって改めて国民審査について調べてみると、制度ができた経緯や過去の不信任の割合など、知っているようで知らないことが色々ありました。国民審査について『形骸化している』などの指摘もありますが、私たち1人1人が制度について理解を深めれば、変わってくるかもしれないと感じました」
議員選挙ではひとりひとりの一票の大切さが強調される。
同じく、国民審査の一票も大切であることも知られるべきだ。私たちの暮らしの根幹にかかわる法を司る最高裁判所だ。せっかく投票権を持っているのだからそれを有効活用しない手はない。