大変だ。日本が沈没してしまう。10月31日、底知れない恐怖にずっと襲われたまま夜を過ごした方は多かっただろう。
恐怖の震源地は「神奈川13区」だった。自民党の幹事長・甘利明氏が「予告」していたのである。
甘利氏は総選挙終盤に「私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている」と演説。自分を落選させたら日本が大変なことになると言い切っていた。
これは読売新聞オンラインが10月29日に報じたものだが、翌日に発売されたタブロイド紙「日刊ゲンダイ」はさらに詳しい演説内容を報じていた。
演説中に「ほとんど錯乱状態」
甘利氏は経済安全保障に話が及ぶと《「私は未来を見通せる」と言いだし、「その私がいなくなれば大変なことになる」「未来は変わっちゃう」と訴えた。最後は「私の手の中には日本の未来が入っている」「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことなのであります!」と絶叫。》
ゲンダイは「ほとんど錯乱状態だ」と書く。ただそこまで訴えているのに「足を止める人はいなかった」とも。神奈川13区の皆さんは一体何をしているんだ! 日本がどうなってもいいのか!
10月31日、遂に審判が下された。現役の自民党幹事長落選という衝撃。甘利氏の予告によれば、日本が大変なことになる。翌朝、恐る恐る目を覚ます。とくに異変はなかった。甘利氏が「比例復活」したことを知る。我々は間一髪で難を逃れたのだ。そこで気になるのは、甘利氏には自分の未来が見えていなかったことだった。
「平井推し」の四国新聞
今回の総選挙の特徴の一つに与野党のベテランや大物の落選がある。与党では甘利明をはじめ、石原伸晃、野党では小沢一郎、中村喜四郎、辻元清美などなど。
私は先週末から高松市に滞在していた。「香川1区」をこの目で見るためである。ここにも大物がいた。初代デジタル大臣の自民党・平井卓也氏である。