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人気があれば総理になれるわけではない

 そして洋平氏は、「改革」を掲げて総裁選にチャレンジした息子・太郎氏の闘いぶりについて、「国民的人気があれば総裁になれるかというと、そんな簡単なことではない」と指摘する。

河野 やはり既得権を守りたい人は多いですから、改革派というのはなかなか難しいですよ。それを乗り越えなければ改革はできない。例えば世代交代なんて、相当なエネルギーがないとできませんよ。「世代交代だ」と声を張り上げた程度では、進まないね。

 それでも今回の総裁選は、相当な改革のエネルギーが発揮されたと思いますよ。でも選挙というのはなかなか思うようにはいかないものでしょう。

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河野太郎・自民党広報本部長

 皮相的な見方をすれば、国民的人気があれば総裁になれるかというと、そんな簡単なことではない。単純に人気だけなら田中真紀子さんが総裁になったかもしれない。橋本龍太郎さんの人気も大変高かったけれど、実際に橋本さんが総裁になったのは人気絶頂期ではなかったですよね。

 どうも自民党という党内の力学は、国民的な待望論みたいなものとは若干違うんですよね。その良し悪しは別として、そういう党なんだから、その枠組みの中でどうやれば勝てるかっていうことを考える必要はある。

「力がなかった」

 そして太郎氏の敗因をズバリこう指摘した。

河野 私にはわかりませんが、もう一つ、力がなかったということでしょう。選挙は競争ですから、相手にこちら以上の力があれば負ける。その力が「権力」の時もあるし、「金力」の時もある。それ以外に「経験力」とか、いろいろな力が作用するものです。

 もちろん、全てを持っている人はいない。だからといって、太郎自身は何も変える必要はない、ということではありません。総裁選に負けた後、党広報本部長を拝命し、毎日、日本中を歩いて回っています。今日もどこかの街角で演説をしているでしょう。そうした日々の中で、身に沁みて感じているものがあるでしょう。きっとそこから、進歩は始まっていると想像しています。

 ほかにも太郎氏の少年時代のエピソードや、父・一郎氏とソ連のフルシチョフに面会した際の秘話を明かした河野洋平元自民党総裁のインタビューは、「文藝春秋」12月号(11月10日発売)に掲載されている。

文藝春秋

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「太郎は力がなかった」