「聞く力」をキャッチフレーズに掲げる岸田文雄総理が「文藝春秋」のインタビューに応じ、同誌11月号に掲載された財務事務次官・矢野康治氏の論文「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」について、「いろんな議論があっていい」と言及。

 巨額の財政出動を求める安倍晋三元総理や高市早苗政調会長らが矢野次官の主張に猛反発し、更迭を求める声も上がる中、岸田総理は矢野次官の処分は「全く考えていません」と明言した。

 聞き手は『聞く力』(文春新書)の著者、阿川佐和子さん。

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“元祖・聞く力”阿川さんが直球の質問を繰り出す中、岸田総理は「安倍路線」との違いを強調した。

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岸田文雄総理

阿川 総理の後ろには、うるさ型の長老がいっぱいいますしね。岸田さんの後ろには麻生太郎副総裁と安倍晋三元総理がしっかりついているから、お二方の言うなりになっちゃうのではないかという声もありますが。

岸田 どうかな(笑)。

阿川 「どうかな」って、どうなの?(笑)

岸田 人事や政策で同じことを言っていたのでは国民も納得しませんから、自分なりに工夫はしていきます。

安倍元総理

阿川 安倍路線とは具体的にどこが違いますか? 

岸田 アベノミクスは経済成長において大きな成果をあげました。ただ、その恩恵がなかなかトリクルダウンして所得の低い人までおりてこなかった。市場と競争に全て任せていても、成長の果実は還元されません。政治が環境をつくり、官民がそれぞれ役割分担をすることで、私は低所得層や中間層への分配にも目配りしたい。