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「日本は『世界最悪の財政赤字国』ではない」アベノミクスの提唱者・浜田宏一が“矢野論文”に反論

『矢野論文』大論争 #1

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MMTを支持する立場から批判

 さらに浜田氏は、「自国通貨を発行している政府は破産しない。政府は必要に応じて貨幣発行すれば、債務超過は解消できる」という学説(MMT=現代貨幣理論)の根幹部分を支持する立場からこう論じる。

「コロナ対策を名目とする財政出動策について、矢野氏は『実際に最終消費や投資に回されなければ(略)GDPギャップは一向に埋まらない』と記しています。昨年春に10万円の特別定額給付金を配ったのに、データの上では、低所得者層を含めた全階層の家計で貯蓄が増えてしまった。つまり、使われず貯め込まれただけだというわけです。

 旅行や飲食に制限があり、お金を使おうにも使えなかった面を考慮する必要はありますが、お金が回るようにするには、昨年のやり方では中途半端で、もっと大胆にお金を配るべきだったのだと、私は考えています。

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 この先、無制限に債務残高を増やせばどうなるか、ご心配な方もいるでしょう。例えば、国の借金のGDP比256%が1000%になったらどうなるか。

 私は大丈夫だと思います。まだ国債を買ってくれる人はいるでしょう。ただし、もう1桁上げて10000%が大丈夫かと言われれば、それは難しい。それは国債を買ってくれる人がもういないからです」

 浜田宏一氏、増田寛也氏、斎藤幸平氏――各界の3賢人が国家財政を論じた「『矢野論文』大論争!」全文は、「文藝春秋」12月号(11月10日発売)と「文藝春秋 電子版」に掲載される。

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国の借金はまだまだできる
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