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「岸田総理は情けない限りです」斎藤幸平が見た“矢野論文の意義”《財務次官が異例のバラマキ批判》

「岸田総理は情けない限りです」斎藤幸平が見た“矢野論文の意義”《財務次官が異例のバラマキ批判》

『矢野論文』大論争 #3

note

人新世の危機は日本でも議論すべき

「岸田首相が総裁選で打ち出した金融所得課税の引き上げ案は、優れた方針でした。しかし、日経平均株価が8日間、数百円ずつ下落。『課税率をあげれば、株価は下がるぞ』という株主からの警告でした。これはいわば『資本のストライキ』ですが、こうした抵抗にあい、岸田氏はあっさり引き下がってしまった。情けない限りです」

「日本の政治家が短期的な視点に陥っているのは、国民の側にも責任があります。日本と海外の有権者を比べると、気候変動対策を求める声の強さが圧倒的に違うのです。

 今年9月に行われたドイツの総選挙では、環境問題を重視する緑の党が大幅に躍進し、15%の得票率で第3党になりました。さらに注目すべきは、若い世代に限定すれば緑の党が最も票を集めたことです。

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岸田首相

 社会問題に関心が深く左傾化する若い世代は『ジェネレーション・レフト』と言われますが、そうした世代ほど気候変動の影響を受ける。コロナ禍や格差の問題に最も直面しているのもこの世代です」

「アメリカでも、格差是正と気候変動対策を掲げたバーニー・サンダースが若者の支持を集めました。世界的にこの2つの動きが合流して、より公正な社会へ向かおうとする流れができつつあるわけです。ところが、日本の有権者は、こうした流れに対する意識が明らかに低い。そのため政治家も票に繋がらないと判断して、目先のコロナ対策や現金給付ばかりを訴えたわけです。

 矢野論文がこれほど話題になったことは、国民が自分たちの払っている税金の使われ方に目を向ける良いきっかけになるかもしれません」

 浜田宏一氏、増田寛也氏、斎藤幸平氏――各界の3賢人が国家財政を論じた「『矢野論文』大論争!」全文は、「文藝春秋」12月号(11月10日発売)と「文藝春秋 電子版」に掲載される。

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岸田さんは情けない
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