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野生動物相手でも、撮影の打合せは一切なし

――危険なことや予想外のこともあったのではないですか?

ムツゴロウ もちろん危ないこともあるんですけど、それ以上に僕が残念に思っていたのは、僕と動物の物語が始まる“最初”の肝心な部分を、カメラマンが撮れないこと。ただそれも仕方なくて、僕が動物のどこに触って何を話すかを打ち合わせしていなかったので、カメラマンもどう撮っていいかわからなかったんでしょう。

 

――自分がカメラマンだったと想像しても、野生動物の動きも予想できませんしムツゴロウさんの動きも読める気がしません。

ムツゴロウ 例えば、35年前に動物園から野生に戻ったゾウと会うとするじゃないですか。そういう時僕は、ゾウの前に立って一度全身の力を抜くんです。そして呼吸を読まれないように、何も言わないし何も動かないようにする。すると最初は警戒してたゾウが、「何だろ」って近づいて来るんです。それに僕も「どうした?」って応じて、そこからスキンシップが始まる。そのお互いの呼吸を撮りたかったんですけど、ほとんど実現しませんでしたね。

――それでも事前にスタッフに説明することはしなかったんですね。

ムツゴロウ それを伝えると嘘になるからです。事前に動きや性質を説明して狙って撮ってしまったら、小学校の理科の本のようになっちゃう。それじゃダメだと思ってたんですよ。

 

 そのぶっつけ本番のスタイルは、撮影中にライオンに襲われて中指を食べられる、という衝撃の事件を引き起こしてしまう。しかしムツゴロウさんは、それをまるで何事もなかったように、楽しそうな表情で話しだした。(♯2につづく)

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