病院で喫煙をナースに怒られた
――今は雀荘も減りました。タバコもお好きだと思いますが、吸える場所はずいぶん減りましたよね。愛煙家のムツゴロウさんにとってはいかがですか。
ムツゴロウ 僕は喫煙歴60年を超えてますからね、困ったもんだなと思ってます。覚えたのは大学生の頃で、渋谷にできた東急百貨店の2階に洋モクを置いてるタバコ売り場ができまして、それを1本ずつ味わいながら吸いましたね。今はタバコが目の敵にされることが多くって、いっそこんな世の中なら早いことおさらばしようかと思う時さえありますよ(笑)。
――心臓の病気などもされていますが、禁煙しようと思われたことはあるのですか?
ムツゴロウ ありませんね。82歳でドクターヘリで搬送されて入院したときも、病室の窓から上半身を外側に乗り出してタバコを吸っていたらすぐにナースが飛んできて、僕は「上半身は病院の外だよ」って説明したけど通じなくて怒られました。今度同じことをしたら病院を出ていってください、とね。
「死」っていう言葉は口にしないように
――大怪我や重病などを何度も経験されているムツゴロウさんですが、「死」について考えることはあるんですか。
ムツゴロウ 「死」っていう言葉は口にしないように、心に鍵をかけて辛抱していたんですけど、最近は考えるようになりました。年を取るのは辛いもので、何ひとつ自分の思った通りにはできなくなるんです。最近は「僕が死んだら」とか平気で言ってしまって、心が弱くなったのかもしれません。でもあの世に行く前に、僕の経験したことを全部話しておきたい気持ちが強くて、それでYouTubeもはじめたし、絵を描いたりこうしてお話ししたりしてるんです。
――YouTubeの「ムツゴロウの656」拝見しています。
ムツゴロウ 656はムツゴロウの語呂合わせなんですけど、全656回かけて自分の体験したことを全部話そうと思ってるんです。でもまだ46回(11月10日現在)ですから、すぐには死ねません(笑)。家の周りを散歩したりして、自分の体や血液を鍛え直しているところです。
――ムツゴロウさんは今もエッセイを書かれたり、11月1日からは銀座で絵の個展「ムツゴロウ世界をまわる」も開催されるなど発信を続けています。どんなことを「話しておきたい」と感じているのですか?
ムツゴロウ 僕はね、動物でも人間でも命と付きあっていると、互いに何か伝わるものがあるんじゃないかと思っているんですよ。自分のありのままの命とも、もう少し付きあってみようと思ってます。
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