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3ヶ月の休園、1400頭のエサ代で大ピンチ…“パンダの楽園”はコロナ禍をどう乗り越えるのか

2021/03/13

 ジャイアントパンダの飼育数日本一で知られる、和歌山のテーマパーク・アドベンチャーワールド。コロナ禍では2020年2月から約3か月間の休園を余儀なくされたが、その危機を救ったのがファンの声に後押しされたクラウドファンディングだった。

 クラウドファンディングでは、目標の500万円を大きく超えた7000万円以上の寄付が集まるなど、熱心なファンが多い同パーク。積極的な情報発信によるファンの作り方を、運営会社である株式会社アワーズの広報課 松本実夏さんに聞いた。

今回話を聞かせてくれた、株式会社アワーズの広報課の松本実夏さん(筆者撮影)

ファンからの声から生まれた、クラウドファンディング

「アドベンチャーワールド」の開園は1978年4月。約80万平方メートルの広大な敷地には、遊園地エリアやサファリもあり、約140種類1400頭の動物が暮らす。

日本生まれのパンダとして初めて出産した「良浜(らうひん)」。これまで16頭のパンダを生み育ててきた(筆者撮影)

 1994年からは、中国成都ジャイアントパンダ繁育研究基地の日本支部として、中国からジャイアントパンダ(以下パンダ)を借り受け、日中共同で自然繁殖の研究を開始。同パークで生まれた11頭のパンダを中国へ送り出すとともに、2020年11月には新たにメスの赤ちゃんが誕生。現在は国内最多の7頭が暮らしている。

 今回のコロナ禍では、新型コロナウイルスの大規模感染予防のため、2020年2月29日から臨時休園を余儀なくされた。さらに、政府からの大規模イベント自粛延長の要請を受けて休園を延長。休園期間は約2か月に及んだ。

 休園している間も、施設の維持費や動物たちのエサ代などの費用はかかる。大半のスタッフはテレワークや特別休業体制となったが、動物たちが清潔で快適な環境で過ごせるよう、飼育スタッフたちは感染症対策をして毎日交代で出勤。パンダのエサ代だけでも、1頭1日約1万3,000円。同園には1,400頭もの動物がいる。開園以来の大ピンチだった。

大人のパンダは、1日約20~30kgもの竹を食べる(筆者撮影)

 休園中にはパークの様子を心配したゲストから、励ましのメッセージや手紙がたくさん届いた。その中に『支援させてもらえませんか?』や『寄付をさせてください』というものが多くあった。ゲストからの温かい声を受け、寄付の窓口を作るために、同園初となるクラウドファンディングに挑戦することにした。

 初めてのクラウドファンディング、不安もあったが、せっかく寄付を申し出てくれたゲストの思いに応えたかった。目標は500万円に設定。これは、6頭のパンダファミリー(当時)の食事代約2か月分に相当する。