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3ヶ月の休園、1400頭のエサ代で大ピンチ…“パンダの楽園”はコロナ禍をどう乗り越えるのか

2021/03/13
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 告知は、公式ホームページやSNS、プレスリリースなどを使って発信。情報はTwitterやネットニュースを通じて、あっという間に拡散した。パークを思うゲストの思いは熱く、わずか開始20分で目標の500万円を達成。さらに、無期限の入園パスポートをリターンとした、1口50万円(限定10口)の支援もすぐに完売した。

 達成後に設定した、ネクストゴールの5000万円もわずか8日で達成。寄付は3000円から受け付けたが、中には100万円を寄付した者もいたのだという。最終的には3271名から、7000万円以上の寄付が集まった。「金額の多い少ないではなく、ご支援くださったみなさんに感謝したい思いです」と松本さん。まさかこんなにも多くの金額が集まるとは。予想をはるかに超えたうれしい誤算となった。

熱狂的なファンを生む理由

 なぜこれほどまでに熱狂的に支持されるのか。同パークにはパンダに会うために、全国からパンダファンがやってくる。筆者も白浜駅でタクシーに乗った際、運転手に「お客さん、パンダの人?」と声をかけられた。運転手によると、毎月、大阪や東京、神奈川などから通ってくる、固定のパンダファンがいるのだ。

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 パークの魅力の一つとして、パンダとの距離の近さがある。ブリーディングセンターの屋外部分や、希少動物繁殖センター「PANDA LOVE」では、目の前をガラスで遮られることなく、自然な状態でパンダと対面できる。特に「PANDA LOVE」においては、パンダの寝息も聞こえてきそうな距離感の近さに、感激するゲストも多いのだという。

パンダと観覧者を仕切るガラスの位置が低い「PANDA LOVE」(筆者撮影)

 ガラスがないスペースでは、パンダの写真も撮りやすい。反射や写り込みを気にすることもなく、緑の芝生などを背景に、生き生きとしたパンダの姿を撮影することができる。それらは、個人のSNSを介して、どんどん拡散していく。

 飼育しているパンダの数の多さも魅力だ。それぞれにファンがおり、お目当てのパンダに会いに全国からファンがやってくる。

寝息が聞こえそうな距離感(筆者撮影)

 やはりパンダの人気は、根強いものがある。しかし、アドベンチャーワールドがここまで熱狂的に愛される理由は、どうやらパンダだけではないようだ。