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3ヶ月の休園、1400頭のエサ代で大ピンチ…“パンダの楽園”はコロナ禍をどう乗り越えるのか

2021/03/13
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独自の企画でファンを増やす。YouTubeで新たな魅力を発信

 この企画チームからは、ユニークな動画が多数登場。スタッフが実際にパークをまわり、予算3000円で思いっきり楽しむ方法を解説する動画や、グルメ王と言われるパンダ、永明(えいめい)が気に入る竹を誰が用意できるかなど、パークを知らずとも楽しめる内容が増えた。

お父さんパンダ「永明(えいめい)」は、飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のジャイアントパンダの記録を持つ(筆者撮影)

 休園中に撮影した、サファリワールドをスタッフが紹介しながらまわる動画も人気だった。この動画によって、パーク内にサファリがあることを、初めて知った人も多かったのだという。

迫力の肉食動物にも出会える、サファリワールド(筆者撮影)

 アドベンチャーワールドといえば、やはりパンダのイメージが強く、報道や観光ガイドなどでも、そこだけがピックアップされることが多い。狙ったわけではなかったが、もともとあるパークの魅力をしっかりと伝えられたのも、SNSのおかげといえるだろう。

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株式会社アワーズの社内(筆者撮影)

 同パークにはさまざまなチーム・プロジェクトがあり、興味を持ったスタッフが挙手制で参加している。オフィスは基本フリーアドレスで、部署を仕切る壁などもない。他部署とも気軽に話ができる環境のため、社員同士の雑談の中から、おもしろい企画が生まれることもあるのだという。

 コメント欄から、直接ファンの意見を聞くことができるのもオンラインの魅力だ。広報スタッフは各SNSのコメントに全て目を通している。個別に返信はしないが、YouTubeのコメントに関しては「ちゃんとコメントを見ています」という意味も込めて、ハートマークをつける。

 ファンのコメントにパークが反応することにより、ファンはパークをより身近に感じて愛着を持つ。実際にパークに足を運び、さらにリピーターとなるファンが育っていくのだ。「もっと見たいです」というような、ファンの生の声は次の企画の参考にすることもある。このコメントは、現場のスタッフのモチベーションアップにもつながっている。