文春オンライン

3ヶ月の休園、1400頭のエサ代で大ピンチ…“パンダの楽園”はコロナ禍をどう乗り越えるのか

2021/03/13
note

パンダの赤ちゃんのVR配信

 パンダの赤ちゃんが生まれたときには、親子の様子を配信する。2018年の彩浜(さいひん)誕生では、75グラムと小さく産まれたことを心配するファンの声から、成長の様子を伝えるVR配信が生まれた。

 この時のVRカメラを使って、ジャイアントパンダファミリーVRライブとして、PANDA LOVEで過ごすパンダたちの様子も、ファンに発信していた。PANDA LOVEには、日替わりでどのパンダが登場するかわからないところが、ファンの楽しみのひとつだったようだ。

2018年生まれの彩浜(さいひん)(筆者撮影)

 2020年11月に誕生したメスの赤ちゃんパンダの公開が、新型コロナウイルス感染拡大によって遅れたときは、YouTubeにて、赤ちゃんの様子を伝える毎日配信を開始。さらに1月からは、親子の様子が見られるライブ配信も始まり、来園できないファンを喜ばせた。

ADVERTISEMENT

ジャイアントパンダの赤ちゃん。3月1日撮影(99日齢)(アドベンチャーワールド提供)

 2021年3月12日には、赤ちゃんパンダの一般客への公開がスタート。同日よりYouTubeにて、VRライブ映像の配信も開始し、生配信で360度動画の視聴が可能に。パンダの親子をより間近に感じられるようになった。

SNSは広報だけのものではない

 公式YouTubeチャンネルからは、クラウドファンディング達成への感謝を伝えるための24時間ライブ配信も行った。パークとしては初の試みだったが「休園中に少しでもパークの雰囲気を楽しんで欲しい」と考えた。撮影には全員参加。広報から各部署のスタッフに、動画の企画と撮影を依頼し、スタッフも「感謝の気持ちを伝えたい」と快諾したのだという。

 この配信以降、SNSに対する現場のスタッフの意識も変わった。実際に撮影や編集を経験したことで、SNSがより身近になったのだ。「面白い動画が撮れた」、「こういう商品はSNSにどうかな?」など、広報スタッフへの声かけが増えた。「自分たちもやれたという達成感が、スタッフの意識を変えたんだと思います。SNSは広報だけのものではないと感じました」(松本さん)