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肉の感触を確かめるように触れる、人前で性器をいじりたがる…福祉・教育現場で頻発する“性トラブル”のリアル

『パンツを脱いじゃう子どもたち』より #1

2021/11/17
note

男の子の性についてもっとリアルな情報がほしい

 学校では難しいと思うのですが、デイの中で、男性の職員が、本人の知能指数なども理解した上で、本人に話してくれるようなサービスや仕組みがあればいいなと思います。

 以前、保護者同士での話し合いの中で、性教育をしてくれる専門家に講義を依頼することを検討していたことがありました。学校でやっている性教育は、命の大切さ、生命の神秘など、抽象的な話になりがちです。

 もちろんそこも大切だけど、実際に小中学生の息子を持っている母親にとっては、男の子の性は未知な部分が多すぎるので、もう少しリアルな話が聞きたい。健常のお子さんたちだったら、男の子同士の界隈で自然と耳に入りそうな情報があるじゃないですか。

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 そのような感じで、もう少しリアルな話をしてほしい。学校で先生から聞く話も大事だけれど、プライベートの話だから実感を持って伝えられることもあると思います。

 これから子どもの性にどう向きあっていくかについては、未知の世界なので、どうしても場当たり的な対応にならざるをえないのかなと思います。うちの子も恋愛や性などの場面にぶつかるのかな……と考えることもありますが、まだ想像がつかない。

『人前でいじらない』ことは小さい頃から教えてきましたが、そこから先をどう教えればいいのかについては、考えていなくて。ここから先は未知の問題です」

卒業後は友達付き合いの不安も

 板谷さんも、卒業後の問題については、今から一定の不安を抱えている。

 板谷「一番心配なのは、高校を卒業するまでしかデイには行けないということです。『卒業した後も、作業所などで、今デイでやっているような活動もできますよ』と言われますが、うちの子は同年代の子と一緒にいるのがとにかく好きで楽しくて……というタイプなので、今のデイみたいに、みんなで工作やおでかけ、ゲームをする場所があれば。

 18歳までといわず、仕事は仕事であったとしても、週一回は遊びメインの時間が取れるような場があればと思います。

 障害のある子どもの中には、スマホを持って友達同士で出かけられる子もいるかもしれませんが、うちの子はそうではないので、友達づきあいは親や周りが率先して構築してあげないと、付き合いが途切れてしまう。18歳以降の関係性を継続できるような仕組みが必要だと思います」

【続きを読む】「人前で脱ぐくらい大きな問題ではない」温かく子どもを見守る“放課後等デイサービス職員”がそれでも対応に悩む“問題行動”とは

肉の感触を確かめるように触れる、人前で性器をいじりたがる…福祉・教育現場で頻発する“性トラブル”のリアル

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