昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

肉の感触を確かめるように触れる、人前で性器をいじりたがる…福祉・教育現場で頻発する“性トラブル”のリアル

『パンツを脱いじゃう子どもたち』より #1

2021/11/17

 6歳~18歳までの障害のある子どもや発達に特性のある子どもが、厚生労働省が定めた省令に基づいた個別支援を受けられる「放課後等デイサービス」。その現場で、いま問題になっているのが、子どもたちの“性に関するトラブル”だ。人前で服を脱ぐ、性器をいじる、自慰行為をする……。福祉現場、そしてそれ以外の公的な空間での性的行動に、保護者は、そして本人はどのように向き合っていけばよいのだろうか。

 ここでは長年障害者の性問題に取り組んできた坂爪真吾氏の著書『パンツを脱いじゃう子どもたち 発達と放課後の性』(中公新書ラクレ)の一部を抜粋。中学3年生の子どもを持つ親が抱える不安に迫る。(全2回の1回目/後編を読む

◆◆◆

保護者インタビュー/母親:「過度の密着」

 板谷真奈美さん(仮名・40代)は、中学3年生の息子の哲也さん(仮名・15歳・知的障害/ASD)を2か所の放デイ(編集部注:放課後デイサービスのこと)に通わせている。哲也さんは、年長(5歳)の頃から放デイを利用している。

 板谷「地元のデイになかなか空きがなくて、最初は3か所を利用していました。当時は見学に行っても空いていない事業所が多かった。空いている事業所はずっと空いているのですが、実際に見学をしてみて、気になる点があったところはやめました。

 それから2か所にまとめたのですが、行き始めると、特にやめる理由がないので、併用のまま続けています。どちらも、定員10人の小規模なデイです。

 14~15時にデイのスタッフの方に学校まで息子を迎えに行ってもらって、17~18時に家に送ってもらう、という流れです」

 現在、板谷さんが放デイでの哲也さんの行動で気になっている点は、スタッフや利用者に対する過度の密着だという。

 板谷「デイのスタッフや他の利用者にピタッとくっつく。肩や背中にもたれかかったり、背中から抱きついたり。特定の身体の部位に固執しているというよりは、ただ誰かと密着したい。触れあいたい。こうした傾向は小さい時からあったのですが、小学校高学年くらいから『そろそろまずいよね』と考えるようになりました。

©️iStock.com

ほっぺや二の腕の肉の感触を確かめているような触り方

 どうやら異性か同性かはあまり関係ないようで、身体の大きい人が好きみたいです。肉の感触というか、くっつくと気持ちいい。私のほっぺや二の腕を触りたがる。肉の感触を確かめているような触り方をする。

 デイでも、やせたスリムな人よりは、身体の大きい人、柔らかい感じの人を好むようです。おじさんスタッフのおなかをつかみにいったり。学校の先生にも、『そうした触り方はやめなさい』と止められたこともありました」

 そうした哲也さんの行動に対して、どのように対処しているのだろうか。

 板谷「『今日こうやったので、止めました』『誰彼構わずくっつくことがあります』という報告を学校やデイから受けています。連絡ノートに書いてあることもあります。

 その都度、『今は甘えたい時期なのかもしれません』と答えたり、『特別な相手に固執していますか?』とこちらから状況を尋ねることもあります。

 対処法としては、まずその場にいる人に対応をお願いするしかない。その人たちが、息子の行動を見てどう感じたか。そのことについて、家での様子も含めて、お互いに情報共有をするという形です」