厚生労働省が定めた省令に基づき、障害のある子どもや発達に特性のある子どもの支援を行う「放課後等デイサービス」で、我が子が“性に関するトラブル”を起こすのではないかと心配に思う保護者は少なくない。しかし、実際に職員として働く男性によると、日常的すぎて特に問題視しない行動も数多くあるという。それでは、逆にどのような行動が職員の頭を悩ませるのだろうか。

 ここでは、「新しい性の公共をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人ホワイトハンズで理事を務める坂爪真吾氏の著書『パンツを脱いじゃう子どもたち』(中公新書ラクレ)の一部を抜粋。放課後等デイサービス職員の男性に行ったインタビューのもようを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む

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放デイ職員インタビュー/男性・20代:「脱いだり性器に触るのは日常」

「子どもが人前で脱いだり、性器に触ることについては、日常過ぎて特に意識したことはないです」

 ある地方都市で放デイの職員として働く松下英介さん(仮名・20代・男性)は、そう語る。

 松下「普通の学童であれば、大きな問題になるのかもしれませんが、放デイでは感覚が違います。人前で自慰行為をするような知的障害が重めの子どもがいる場合、そうした子と比較してしまうので、『脱ぐだけか』と思ってしまいます。

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 また、小学校低学年という年齢であれば、健常児であってもそうした振る舞いをするだろうな、と思う時もあります。発達障害の子に関しては、年相応の振る舞いなのではないでしょうか。自分が小学校低学年の時は、障害特性のない子も脱いでいたので。服を脱ぐ子どもに対しては、こちらもその都度、『着なさい』と伝えるだけです。

 異性の子どもや職員の身体を触るのはさすがにダメですが、人前で脱いでしまうことくらいは、それほど大きな問題にしなくてもいいのではないでしょうか。それって障害特性なの? とも思いますし。

 あまり決めつけることはよくないのですが、発達障害の子であれば、小学校中学年になれば、そのくらいのことは分かる。自然としなくなることも多いと思います。

 10歳くらいになれば、定型発達の子どもと同じような羞恥心は芽生えないにしても、社会のルールについてはある程度理解できるだろう、というのが僕たちの感覚です」