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人々はためらう様子もなく店に入ってくる
この店にはもう一つ、特異な点がある。店の外に看板が一切出ていないのだ。「隠れ家レストラン」ならぬ「隠れ家スーパー」といったところか。出入口のドア以外に窓がほぼ無く、何だか要塞っぽくもある。ここがスーパーだと教えてくれているのは、駐車場の案内とドアに貼られたチラシだけだ。
これもうかがった話によれば、看板は開店当時から無かったという。定かな話ではないそうだが、「看板が無くても売れる店にしよう」という当時の社長の意気込みもあった、と伝えられているそうだ。近所の住民とおぼしき買い物客が皆、ためらう様子もなく店に入ってくるのを見ていると、その精神はしっかり根付いているように思えた。
3階建ての建物のうち、売り場は2階までだ。スーパーとしてもだいぶ年季が入っていて、旅館だった頃の面影は全く無い。コンビニやミニスーパーくらいの広さにもかかわらず、商品のレパートリーは豊富だ。
佐渡では「つつもち」と呼ばれる珍魚・ガンコも
近隣に他のスーパーが無いことも大きいのだろう。生鮮食品中心の1階には、地元・佐渡産の品も多い。地魚はサバ、ブリ、アジ、カツオ、赤ガレイといったおなじみのものに交じって、佐渡では「つつもち」と呼ばれる珍魚・ガンコも並んでいた。
ちょうど収穫のシーズンを迎えた果物も地物が目立つ。柿、リンゴ、ブドウ、イチジクと賑やかなラインナップだ。