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3万人の参加者のうち、上位20人という狭き門

 私は今年で37歳になるため、35歳以上の「マスターズ部門」でのゲームズ出場の可能性を追った。出場するためには、世界中で3万人近い参加者がいる2度のオンライン予選を戦い、その中で上位20人以内に入る必要がある。

 この「20人」というのが非常に難しい。

 もちろん過去のゲームズでの優勝者や入賞者もいる。ほとんどがクロスフィット界ではいわゆる「レジェンド」な人達なのである。ウエイトリフティングや体操、アメリカンフットボールなど他競技での実績がある選手も多い。それゆえ、1回、1秒のスコアの違いで大きく順位が変わるのだ。

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 競技としてのクロスフィットの場合、予選の直前に競技種目が発表される。

 腕立てや腹筋といった基礎的なトレーニングの組み合わせの場合もあれば、ランやバイクのような持久系の競技が入ってくることもある。それゆえ未体験の種目に対して、試技前に最大限想像を膨らませてシミュレーションを行う。予選の試技は基本的に1回のみなので、自分のフィジカルを考えて、種目に合わせてどんなペースで動くのかを綿密に詰めていく必要があるのだ。

初の「ゲームズ」挑戦。米国ウィスコンシン州へ!

 さて、そんな厳しい予選をどうにか乗り越え、ようやく初の「ゲームズ」に挑戦できることになった。大会は毎年、米国ウィスコンシン州マディソンという街で行われる。大会期間は3日間だ。

 シカゴから車で3時間ほどの距離の街で、気候は東京に似て高温多湿である。渡米後は普段オンラインでコーチングをお願いしているサンディエゴにあるジムを使わせてもらって、3日間ほど時差ボケ解消を含めた事前調整をした。

 大会2日前にはウィスコンシン州に到着。ホテルにチェックイン後、そのまま会場へ足を運び、アスリートチェックインを行った。

「ゲームズ」に参加している各地域代表のマッチョのみなさん。女子のエリート部門で5連覇している選手は重量挙げのリオ五輪代表だという

 ここで印象に残ったのが、スポンサー企業によるアスリートたちへのおもてなしだ。

 プロスポーツさながらに、個人ロッカースペースが用意されており、そこで今回の大会で使うユニフォームをはじめ、たくさんのアパレル・シューズ・バッグが支給された。その後ユニフォームに着替えて、プロフィール写真撮影もある。この国ではスポーツそのものがしっかりと「ビジネス」の形になっていることが感じられた。

 前述のように、基本的に「ゲームズ」の競技種目はギリギリまで発表されない。大会前日に行われるワークアウトのQ&Aセッションまで、誰もどの種目を行うのかを知り得ないのだ。