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アメリカは「スポーツをエンターテイメントに昇華させる国」

 全日を通じて期待した結果は残せなかったが、最後まで全力で動いたことに関しては満足できた。

 今回、初めて「ゲームズ」に出場して感じたのは、やり方次第でクロスフィットがフィットネスを超えたエンターテインメントになるということだ。

 素人目で見れば、「人の筋トレを見て何が面白いの?」と思うだろう。実際にジムの中でオンラインの大会に参加している時は、そんな思いが浮かぶ瞬間もある。

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 一方で、「ゲームズ」では世界中のトップアスリートが体力・精神力・技術の限界に挑戦しながら、あらゆる課題に取り組んでいる。そして、それを盛り上げる最高の舞台や音楽が用意されていた。会場全体はフィットネスパークのようになっており、選手だけではなく競技時間外には観客も参加して楽しめる。ベンダースペース、キッズフィットネスエリア、スタジアムに入れない人向けのパブリックビューイング会場、会場全体を盛り上げるサウンドシステムやDJの設置などなど。

 

 とにかくアメリカはスポーツをエンターテインメントとして盛り上げるのが巧い。だからこそ、単なる「人の筋トレ」がエンタメにまで昇華されるのである。「ゲームズ」での経験は、まさにその典型例だった。

クロスフィットを日本でもっと盛り上げるためには?

 翻って日本の状況を考えてみると、確かにクロスフィットジムも増え、一般の人の認知度もある程度は高まってきたように思う。ただ、今後大きく成長するためには、この大会がもっと日本人に知られ、そこに挑戦する人がたくさん出てくる必要がある気がしている。

 もちろんクロスフィットはみんなのためのフィットネスであり、「ゲームズ」はその極限を切り取った一部でしかない。だが、スポーツにもエンターテインメント性が必要なように、クロスフィットが日本でもっと人気になるには、「ゲームズ」の日本版のようなものも必要だと感じた。

「ゲームズ」には今回私が出場した35~39歳枠だけでなく、上は65歳以上の枠まで用意されている。こうしたマスターズ枠の選手は、プロアスリートではなく、フルタイムの仕事をしながら、隙間時間にワークアウトをしている。それでもフィットネスに情熱を燃やして、「ゲームズ」を最終目的地として毎日ワークアウトに励んでいる。

 

 エリート部門の選手のようなパフォーマンスは出せなくても、それ以上に見ていて周りの人をモチベートさせるものがある――。

 こうした選手たちがもっと取り上げられ、日本人のフィットネス意識が変わっていってほしいと感じたアメリカ遠征だった。