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「会見をしない理由は、他にあったのでは」

「当初、石川サイドはそれほど深刻な問題とは考えていなかったようでした。8日の時点では11日からの三井住友VISA太平洋マスターズに出場する意向で、9日にはコース入りして報道陣に状況を説明するつもりでいました。しかし、ネット上で批判が高まって、9日午前に『一部至らない点があった』とする謝罪コメントを発表しました」

 ただ、このコメントが「“一部至らない点”とは何を指しているのか」などさらなる批判を生んだ。石川は大会欠場を決め、JGTOに役員辞任届を提出した。

「その後、青木功会長、選手会の池田勇太事務局長らが取材対応しました。ただ、青木会長は『(石川の処分を決める理事会は)2、3日後に予定』と言い、記者たちが食い下がると『俺がお願いしているんだから。いいだろ。待ってくれよ。今日は言いたくても言えないんだよ』と返しています。池田も『マスコミの皆さんにお願いなんですけど、これ以上聞かないでください』と」

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 11日はJGTO懲戒・制裁委員会が開催、15日には理事会が開催された。

「どちらもリモート形式でしたが、石川の会見だってリモートでやれたはずです。15日は329人が集まった大谷翔平の帰国会見が話題になっていましたし、感染対策をすれば、石川だって出てこられたでしょう。会見をしない理由は、他にあったのではと考えてしまいます」

 

功労者を“守る”JGTO側

 JGTOによると、石川は厚労省が定めた14日間の隔離期間中、練習場を利用し、2ラウンドを行っている。1回はコーチとゴルフ場関係者の3人、もう1回はコーチと2人でプレー。夕食は、個室でコーチと2人でとり、ゴルフ場関係者1人が入室し、会話をしたこともあった。コーチと2人で夕食をとった際、2回飲酒、いずれもゴルフ場関係者が同席していた。

 JGTOは「本人がコーチと同じ飛行機で帰国しており、いわゆるバブル状態にあると思い込み、屋外でのゴルフプレーなどが許されていると勘違いしていた事情は理解できなくはない」としたが、「国民の多くが感染症ウイルスの外国からの持ち込みを警戒している中、重い社会的責任を負うJGTOの副会長、JGTOツアーメンバーとして軽率であることは否めず、今回の処分が相当であると判断した」と処分理由を説明した。

 もし、石川の記者会見が開催されたら、3人での飲酒の詳しい状況、「バブル」と思い込み、「勘違い」するに至った経緯の説明なども求められただろう。15歳で史上最年少ツアー優勝を果たして以来、トップの人気を誇る功労者を“守る”には、コロナ禍を盾にした“会見なし”をJGTO側も勧めたのではと勘繰られても仕方ない。