11月9日、都内在住の男女7人が、金融商品取引法違反の容疑で警視庁に一斉に逮捕された。
彼らは昨年6月以降、金融商品取引業者としての登録がないまま、複数人に計約1700万円相当の仮想通貨を出資させたとみられている。警視庁は、同グループが2019年4月以降、海外に拠点があるとされる「ジュビリーグループ」の金融商品『ジュビリーエース』、『ジェンコ』、『GTR』といった金融商品への出資を呼びかけ、計650億円分の仮想通貨を集めていたことも確認しているという。いずれの商品も「月利10%」「保険会社が元本を保証する」などと、高利回りや好条件をうたって出資者を募っていた。
実はこの一報、特定の業界でことさら大きな話題となった。
マルチ商法で警察にマークされてきた男
逮捕者のなかに「マルチ商法ビジネス」の超大物としてその名をとどろかせていた人物が含まれていたからだ。事件の主犯格として捕まった投資会社役員、玉井暁(53)である。
大手マスコミの警察担当記者が明かす。
「玉井といえばここ10年以上、関わった複数のマルチ商法で多数の被害届が出されており、警察にマークされてきた男です。ただ、これまでは2013年に健康ドリンクを商材としたアメリカ系のマルチ『モナヴィー』で得た所得約2億8000万円を申告せず、約1億円を脱税したとして起訴されたことはありましたが、金商法違反や詐欺罪など、マルチ商法自体を罪に問われたことはなかった。
フェイスブックには、豪奢な生活を自慢するような写真の数々
今回摘発された3つの金融商品は、新規会員の出資額に応じたコミッションが勧誘者に支払われるという典型的なマルチ商法。玉井らは、全国でセミナーを展開し『人工知能を駆使した自動取引で月利20%は確実』などと謳っていましたが、実際は運用などしておらず、新規会員の出資分の一部を配当に回す完全な自転車操業。案の定、昨年11月あたりから次々に出金停止に陥り、全国の警察に相談が寄せられていた」
被害者一同からさぞ恨みを買っていたであろう玉井容疑者だが、自身のフェイスブックには席が埋め尽くされたセミナーの様子のほか、世界各地で宿泊した高級リゾートホテルや、プライベートジェットの内部など、豪奢な生活を自慢するような写真の数々が「自由万歳!」や「何をやってもうまくいく魔法」などといった言葉とともに投稿されている。