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 さらに、神経の病気でも便失禁になることがある。たとえば、糖尿病。血糖値のコントロールが不良の状態で、経過が長い場合、末梢神経障害を発症することがあり、便失禁を生じることがある。

 また、分娩のときに神経の一時的な麻痺で便失禁になったり、婦人科系のガンなどでリンパ節の郭清をすると、お通じの感覚がわかりづらくなり、便がもれることもある。

 そのほか胆嚢の摘出や、腸の病気のために普段から便がゆるめな人も便失禁が生じやすい。また、先天性の障害で、肛門括約筋が形成されていない場合にも便失禁が起こりやすい。

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「食事療法だけ」で70~80%の人が改善

 便失禁の治療として最初に行うのが「食事療法」である。

亀田京橋クリニック・直腸肛門外来の高橋知子先生によれば、「食事療法だけで70~80%の人が改善した」という(亀田総合病院提供)

 亀田京橋クリニックの治療結果では、患者50人に栄養指導をしたところ、そのうち70~80%の人に改善が見られたという(Effects of Dietary Guidance without Dietary Fiber Supplements on the Symptoms, Quality of Life, and Dietary Intake in Patients with Fecal Incontinence)。便失禁に悩んでいる人は、一度、試してみるといいだろう。

 具体的な食事療法の中身は、次のようなものである。

(1)「便がゆるくなる食品」を減らす

 便がゆるくなる代表的な食品として、お酒、乳製品(牛乳、ヨーグルト)、お菓子、果物、ジュース、カフェインなどがあり、この中にはFODMAPも含まれる。

 FODMAPというのは、F(fermentable:発酵性の糖質)、O(oligosaccharides:オリゴ糖)、D(disaccharides:二糖類)、M(monosaccharides:単糖類)、And、P(polyols:糖アルコール)の頭文字を取ったもので、FODMAPの少ない食事をすると過敏性腸症候群の症状が軽減するといわれ、オーストラリアで提唱された。

 FODMAPの糖質は小腸で吸収されにくく、大腸まで下りてしまうと、大腸の液の濃度が高くなってしまうため、水で薄めようとして便がゆるくなってしまう。

 それを防ぐ食事療法として、このようなFODMAPを多く含む高FODMAP食品の摂取を減らすことを高橋先生のクリニックでは勧めている。ネットで調べると高FODMAPの食品について紹介されているので、参考にするといいだろう。

(2)米飯をしっかり摂る

 米飯のデンプンには、便をしっかりまとめてくれる働きがあるので、1日に2膳は食べるようにする。ただし、玄米はデンプンが少ないので、白米にしたほうがいい。

 また、飲酒量の多い人は夕食の食事量が少なくなりがちで、お菓子をたくさん食べる人はダイエットをしようと主食の量を減らしがち。いずれにしても米飯の摂取量が少なく、便をまとめる力が弱くなるので、しっかり白米を食べることが大切だ。

 米飯を十分量摂るようにすると、腹持ちが良くなり、お菓子や果物の摂取が自然と減るため高脂血症を改善する効果があり、コレステロールの高かった人が正常値になるという相乗効果が見られることもある。

(3)バランスのいい食事をする

 ご飯と主菜、野菜の入ったお味噌汁、野菜の和え物やサラダという、一汁三菜の組み合わせを意識すると自然と食事のバランスが良くなり、便失禁予防につながる。

 コンビニなどで買うお弁当は、おかずの量が多すぎるので、単品で買うのがオススメ。自宅からおにぎりだけ持っていき、おかずをコンビニで買ってもいいだろう。