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きっぷを握りしめてホームに降りると…
で、きっぷを握りしめて小湊鐵道のホームに降りると、これまたたくさんの観光客がディーゼルカーの扉が開くのを待っている。そのほとんどが、養老渓谷駅に行くのだろう。いままで文春オンラインの取材のためにいろんな駅を訪れてきたが、同じ列車に乗っている人の大半が自分と同じ目的地という経験はしたことがない。もうね、こうなってくるとナゾの駅もへったくれもない。
最初は房総半島の田園地帯、途中からは養老渓谷を刻む養老川に沿って山間部を走ること約1時間。座れない人もちらほらいるほど賑わっていた小湊鐵道のディーゼルカーは、古い車両だからかとにかくよく揺れる。ケチをつけているのではなく、都心から日帰り圏内でこんなにローカル線感を味わえるというのは悪くない。ローカル線の旅をお手軽に、というのが小湊鐵道の魅力のひとつというわけだ。
ちなみに、小湊鐵道はよくテレビドラマなどのロケ地としても登場する。アクアラインを使えば東京都心から余裕で日帰り。それでいてローカルの風情がたっぷり詰まった映像が得られるのだから、重宝がられるのもよくわかる。グラビアの撮影でも房総半島は盛んに利用されていて、まさに都心からいちばん近い“田舎”というわけだ。それをかなえているのはまさしくアクアライン。くらべるとどうしても、鉄道経由は遠回りをしているような気がしてしまう。