――言いたいことを言い合えるのは、素敵な関係ですね。
加藤 怒られることも多かったですけど、怒られないと逆に心配になりましたね。普段から「怒りがエネルギー」と言っている方なので。怒ってない日があると、あれ、ちょっと元気ないのかなと思います。夫人に、「今日怒ってないけど、体調が悪いんですか」って聞くと「いや私だって毎日怒りたくないですよ」って言われて、ああよかった、よかった、元気なんだなって。
――そして今年の秋に大学を卒業して、デヴィ夫人の家を出たんですよね。
加藤 そうです。卒業式の日には「やっと卒業できたわね。卒業論文で死にそうなぐらい大変で困ってましたよね」って言われました。宿題も夫人がやってくれてたので。英語の宿題がとにかく苦手で、「夫人、忙しいとは思うんですけど、ちょっとやってください」と言って、夫人のテーブルの上に置いておくと、1時間後くらいには丁寧に書き終わってできてるんですよ。しかも英語の上にはカタカナがふってある。
発音の練習も一緒にやってくれましたね。「もっと舌を丸めるのよ」って。そのおかげで成績はAでした。
今までにないジャンルを突き止めていきたい
――同居生活が終わり、今は寂しいですか。
加藤 うーん、でもいつまでもお世話になるわけにはいかないので。自立しながら、恩返しできるような人間にはなりたいなと思っています。夫人のような人間になるのが一番恩返しなんじゃないかな。
でも今でも、東京に用事がある時は泊まりに行っているんです。洋服などはすべて夫人の家に置いてあるので。
――そうなんですね。最後に加藤さんのこれからの目標はなんでしょうか。
加藤 口笛奏者として今までやってきていたんですけど、この秋に歌にも挑戦させていただいたんです。口笛だけにとどまらず、今までにないジャンルを突き詰めていきたいなと思っています。
今まではデヴィ夫人の同居人ということで、色んな方に知ってもらえたと思うんですけど。これからは音楽家としてやってる自分の活動を、色んな方に認めていただきたいです。たくさんの方にいい作品を届けられたら嬉しいですね。
写真=橋本篤/文藝春秋
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デビュー曲『名前の無い駅』
加藤万里奈:口笛奏者 歌手 タレント
中学在学中にアメリカで開催された世界口笛大会のティーン部門女子部で優勝。
2014年には芸術文化功労賞を受賞。
2018年からは女優としての活動も開始。
口笛だけではなく、バイオリン、乗馬など多岐に渡り活動。
水戸市の「魅力宣伝部長」に就任。
2019年、日本人で初めてアメリカニューヨーク市のカーネギーホールに於いて、口笛を演奏。
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