当のBTSは「兵役は当然」とコメントしているが…
韓国ではこと兵役問題についてはとてもデリケートな話題だ。
これまでも子どもの兵役逃れがバレて国会議員の職を失った政治家は数知れず、芸能界でも兵役による空白期間を避けようと偽造した診断書を提出したことが明るみに出た事件もあった。そんな数々の教訓から、政界や芸能界などの公人の間では兵役を果たすことが原則といわれ、『愛の不時着』で再び人気となった俳優のヒョンビンはもっとも厳しいといわれる海兵隊を志願して入隊し、喝采を浴びた。
しかし一方で、一般の人々の間では金銭的余裕のある人たちは他国の市民権を取得するなどして兵役を免れている人も多く、常に「不平等」という不満が燻る。
ARMYといわれるBTSのファンのひとりはこんなことを言っていた。
「本人たちがその時が来たら行くと言っているのに周りがこんなに騒いでしまって、逆にバンタン(BTS)の立場を危うくしてしまうのではないかと心配です。活動を続けて欲しいですけど、韓国ではたとえ事情があったとしても兵役に就かなかったということで肩身の狭い思いをしますから、そんな思いはしてほしくない」
50代の知り合いは、兵役中、サッカーが下手だという理由から腰を蹴られ、ついには手術するまでにいたり、1年足らずで除隊した。その後回復し、会社に入社したが、公けの場ではけっして年齢を明かさなかったという。
「入社年次から計算すると、どうしてその年齢で会社に入れたのかと思われて、兵役逃れしたと思われるのがイヤでしたし事情を説明するのも情けなかったのであまり言わないようにしてきました」と言う。韓国ではそれだけ「兵役」は敏感な話題なのだ。
来年3月の大統領選挙後、新しく始まる国会で再度論議される可能性もあるといわれるが、当のBTSは、「兵役は当然」とコメントしており、メンバーのひとり、シュガは自身の曲にこう書いている。
「軍隊はその時が来たら勝手に行くから、俺たちの名前を売り物にして便乗しようとしたやつらはみんな黙ってくれ」(ミックステープ(商業的目的ではなく無料で配信される)『D-2』より、筆者訳)