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兵役が免除される特例「芸術要員」とは

 そもそもこの「芸術要員」という特例とはどんなものなのか。

 韓国では憲法と兵役法の定めるところにより、病気や家を継ぐ者が不在などの特別な事情がなく、身体検査で問題がないかぎり、韓国籍の男性は満20歳から満30歳までに入隊しなければならない。

 通常の入隊先は陸・海・空軍など。服務期間はかつてより短くなっており、陸軍・海兵隊は18カ月、海軍20カ月、空軍は21カ月だ。

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 このほかに、「体育要員」、「芸術要員」、そして「専門研究要員」や「産業機能要員」などがある。アジア大会やオリンピックで銅メダル以上を獲得した「体育要員」や、国際芸術大会で2位以上、国内の芸術大会で1位を取得した「芸術要員」は兵役が免除される。

BTSの活動を国に“貢献”することとみなすか否か

「専門研究要員」は修士、博士課程に在籍中か修了者で、主に理工系の分野で国に貢献できる人材が対象とされている。該当する場合は、軍が指定する中小企業やベンチャー企業、もしくは学校などの研究機関に3年間勤務・研究することが代替服務とされる。「産業機能要員」は、主に高校を卒業した技術者がその技能を生かしてやはり指定された企業に勤務することで、服務期間は長く、34カ月だ。

 これ以外に医学的に激務には耐えられないと判断された場合には役所や福祉施設で21カ月ほど代替服務する「社会服務要員」や、また、宗教上の理由が認められた場合は良心的兵役拒否とみなされ、刑務所での任務に3年間従事することが代替服務として認められている。

(左から)V、SUGA、JIN、JUNG KOOK、RM、JIMIN、J-HOPE ©getty

 今回BTSを巡り論議されたのは、「芸術要員」の枠を大衆文化で功績のあった者にまで広げ、「専門研究要員」と同じように、今まで通り活動することにより国に“貢献”することとみなすこと。

 大学院でAIを専攻した知人は「専門研究要員」としてベンチャー企業に勤務しているが、コロナ禍前は海外旅行にも行っており、通常の会社勤務となんら変わりがない日々を送っている。ただ、普通の会社員と違うのは、服務期間中に3~4週間(入隊する軍によって異なる)の軍事訓練が義務づけられていることで、これはいずれの「要員」にも該当する。