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「学校で教師が髪を切る行為が違法と認定された」

 女子生徒の母親は「教師が髪を切ることについて、本人が希望したことではないので、判決では、『合意があった』と認定されたことは残念でした。しかし、少なくとも、学校で髪を切る行為は正しいことではないとはっきりと判断されたことはすごくすごく大きい。娘は一時期、普通の生活ができないほど憔悴しきって、1日6時間も起きていられない生活でした。裁判が始まってからは、一緒に怒ってくれる大人たちに出会えました。やっと(裁判が)終わったと思えるのではないか」と話し、支援者に感謝の意を伝えた。

 父親は「(髪を切られた行為から)5年間は長かった。みなさんには感謝しております。ありがとうございました。今後はいい方向になれば幸いです」と語った。

判決後、記者会見に臨んだ女子生徒の両親 ©渋井哲也

 代理人弁護士は「学校で教師が髪を切る行為が違法と認定されたことには意義がある」と前置きした上で、「こうした判決が初めてかどうかはわからない。発達特性の考慮についても言及しているため、どこまで波及するものかはわからないが、少なくとも、本人が同意していたとしても、保護者には確認できた、ということが認定された。この点は、ある程度、(他の裁判にも)波及するのではないか。本人の状態にとって良い方向に行くことが、一番の意義になる」と述べた。

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一部ではあるが原告側が勝訴となったのは画期的

 頭髪をめぐっては、丸刈り強制やパーマ禁止などの校則規定に関連した裁判がある。いずれも判決で原告敗訴となっている。最近では、2021年2月、茶色っぽい髪を黒く染めるように教諭らに強要されて不登校になったとして大阪府に損害賠償を求めた裁判があった。大阪地裁は、髪の染色を禁じた校則は「裁量の範囲内」で、それに基づいた頭髪指導は違法とは言えないとする判決を下している。

 今回の裁判は、校則ではなく、日常の学校生活をする上での「衛生指導」に関連した裁判という稀なケースだ。しかも、一部ではあるが原告側が勝訴となったのは画期的だ。