昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「腸が煮えくり返る気持ちに…」山梨県“女子中学生髪切り事件”の被害者が思いを明かした

「『臭い』とからかわれるのが嫌だ」といじめを訴えたところ…

2021/11/29

〈今でこそ思い出すと、腸が煮えくり返る気持ちになりますが、当時は何が起きたのかわかりませんでした〉

 山梨県山梨市の中学校で2016年6月、女子生徒(当時中学2年生)が「臭い」と言われるなどのいじめ被害をアンケートに書いた際、養護教諭は「髪が長い」ことが理由だとして、学年主任が校舎内の廊下で女子生徒の髪を切った。そのため、女子生徒は精神的な被害を受け、翌日から学校へ通うことができなくなった。

 この問題をめぐり、女子生徒は、学校設置者の山梨市を相手に770万円の損害賠償を請求する訴えを起こした。11月30日、甲府地裁で判決が言い渡される。

 冒頭の一文は、高校に進学した後、校内の課題で書いた作文の一節だ。

 判決を前に、筆者は、原告と両親に話を聞いた。

事務用ハサミで女子生徒の髪を…

 訴状などによると、生徒Aが、女子生徒について「体臭がくさい」という内容の噂を広めた。特に、生徒Aが所属するテニス部の女子部員の中で情報が広がったという。女子生徒は、6月に行われた「いじめ調査のアンケート」で、「『臭いよね』と、からかわれるのが嫌だ。やめさせてほしい」と書いた。前にも、同様のことを3回書いていたことを記憶している。

 すると、6月6日、女子生徒は、学年主任から保健室に呼び出された。そこで体臭に関する指導が行われた。このとき、養護教諭からは「体臭をからかわれるのは、お風呂に入っていないからではないか」「髪が長いのが問題であるなら、短くしてはどうか」などと言われた。帰宅後、女子生徒は母親に「髪を切ってほしい」とお願いした。母は、以前から娘の髪を切っていた。そのため、寝ていたところを起こされたものの、翌日、急いで散髪をした。校則違反にならない、肩より少しだけ上の長さになった。

 しかし、女子生徒はさらに学校で短く切られる。6月8日、学年主任が音楽教諭に「(女子生徒を)借りて良いですか?」と許可を求め、音楽教諭は「放課後、下校のバスが出る直前であれば構わない」と答えた。そして、学年主任は、美容用ではなく、事務用のハサミで髪を切り始めた。

©iStock.com

 女子生徒は、のちの主治医の「切っている間、抵抗できなかったのか?」との質問に、「よくわからない」「はっきり嫌と言えなかった」と答えている。帰宅後、女子生徒は「髪を切られた」と涙ぐんだ。そして夕食時に「学校へ行きたくない」と言い出した。家族のLINEグループにも、「もうやだ。泣きたい」と書き込んだ。