「不登校になってからは、部屋でTwitterを見たり、寝っ転がったりしていました。(いじめや髪切りの時から見ると)裁判が終わるのはやっと。長かったけど、終わるとなると、あっという間だったかな。苦しんでいたときのことは、今でもめちゃめちゃ覚えています。それにしても、長いな……」(女子生徒)
証人尋問では自らが証言をした。母親によると、本人の番が終わると、過呼吸を起こした、という。
裁判官に「なんですか? 言いたいことがあるならはっきり言ってください」と言われたことがあった。「私が学校に行けなくなったのは髪を切られたから。いじめがなかったらそうされなかった」と話したというが、緊張して口をパクパクするシーンもあったとか。
「(証言は)きつかったなあ。あまり記憶がないんですが、裁判長の顔をずっと見ていたと思います。多分、言いたいことを言い切った。裁判長に『言いたいことがあれば』って言われたけど、それが簡単にできたら苦労しないですよ」(同前)
りんごは自分のアバター、仮面をつけて身を守る
不登校のときは、特に出かける先もなく、家で過ごすことが多かった。
「Twitterのアカウントは、当時は一つだけでしたが、今は、ただ絵を描いたり、絵を上げるアカウントがあります。病みツイ(=悩んでいることを投稿するアカウント)はありません。まだまだ、当時の自分を客観視できませんね。まだ渦中にいる感じです。ゲームで裁判のシーンがあると 、(精神的に)もうダメだって思ってしまいます」(同前)
絵を描くのも好きだ。スマホやタブレットで描いている。サイトで売ったこともある。
「地域の活動の会員証のイラストを頼まれて描いたこともあります。iPadを買うのに、サイトでイラストを販売したことがあります。(絵が)売れたことで買うことができました」(同前)
一枚の絵があるが、泡の中に、女性が横たわっている。これは不登校のときの心境だという。また、教育センターでも、相談支援の一環で、4枚の絵を描いていた。そこには、リンゴの絵があり、「バグの」と名付けられていた。そのキャラクターが、自分を模したものであり、自尊心の象徴だという。
「りんごは自分のアバターなんです。食べ物として好きだし、わかりやすい」(同前)
そのアバターは剥き出しの自分であり、学校へ行くときや知らない人と会うときなどは「仮面」をつけて、身を守っている。