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サイモン氏が強気な理由
それでもサイモン氏が強く出たのはなぜか。1つには選手との関係がある。
「サイモン氏は元プロ選手ではないが、観客動員数を押し上げるなどトーナメントディレクターとして優秀で、15年にWTACEOに就任。18年には差別的な扱いを受けたと語ったセリーナ・ウィリアムズをサポートするなど、選手の人望も厚い」(スポーツ紙記者)
今回、そのセリーナを始め、大坂なおみ、ノバク・ジョコビッチなどがコメントを発表。WTAも見逃すことが出来なくなった。
サイモン氏がアメリカ人であることも大きい。先日、米中首脳会談が行われ、アメリカは北京五輪の“外交的ボイコット”も検討。サキ大統領報道官も、失踪について懸念を示していた。
何よりテニス界は人権問題に敏感だ。男女平等を目指し、ゴルフ等と違い、グランドスラムの男女の賞金額が同額。それゆえグローバル企業も他競技より数多く支援しており、彭の件も看過することは出来なかったのだろう。19年、サッカーのアーセナルの選手が中国の少数民族について発言した際、チームが「我々は政治に関与しない」と突き放したのとは大違いだ。
WTAはバッハ会長の発表も、「懸念を解消するものではない」としている。