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今回のスキャンダルには裏もある

 以降、張氏は07年に天津市の党委書記に栄転しており、この時期に彭と知り合ったようだ。12年秋には政治局常務委員に抜擢され、翌年春に筆頭副首相に選出された。外見上は地味で感情を表さない典型的官僚タイプだが、江沢民派の“番頭格”の一人として、今も隠然たる影響力を行使していると言われる。

 ただ今回のスキャンダルには裏もあるようだ。

“党内警察”である党規律検査委員会は彭の告発の翌日、天津市の過去の不正腐敗事件8件を突如公表した。この中には張氏が副首相だった時代の事件2件が含まれており、上層部に向けた責任追及が始まる可能性もある。

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 巨大IT企業の背後に控える江沢民派の利権構造の摘発に燃える習指導部だけに、対立の火は激しさを増すだろう。

 

 北京では党の重要会議「6中全会」が11日まで開催中。彭の一件が、集まる党幹部の話題にならない筈はない。一方で、彼女が名誉棄損などで拘束されたとの情報はない。

 来年秋の党大会で総書記3期目を目指す習近平氏は、反対派の勢力を少しでも削ごうと懸命だ。