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自身も詐欺被害者なのに「怖くて逆らえなかった」

 山田被告のツイッターアカウントには、20万円を投資すると約2時間で12万円の利益を得た、といった内容が投稿されていた。SNSでは煌びやかな生活を送っていた山田被告だが、実生活は悲惨なものだった。

「山田被告は『THEグループ』と呼ばれる詐欺集団に所属していました。トップで主犯格は車舘宙生被告(25)=公判中=。過去の公判では、山田自身も車舘被告に騙されて70万~80万円払っていたことが明らかになっています。当時、山田被告は消費者金融から金を借り、その金額を支払っています。しかもそのときの借金は、いまだに残っているようです。騙されたにも関わらず、その後に勧誘されて詐欺の実行役として動いていたことになります」(同記者)

山田樹奈(本人のTwitterより)

 グループは2020年2月までの半年で約6000万円を荒稼ぎしていたが、末端の山田被告の報酬はたったの13万円。山田被告は被告人質問で、「自分たちのしていることがおかしいと思い、辞めたいと思っていたが、車舘被告らが怖くて逆らえなかった」とも証言している。自分の借金も返せないほどの報酬しか手に入らないにも関わらず、リスクの大きい犯罪を重ねていたということだ。

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青春時代を費やしたアイドル活動のその後

 12月2日の判決で、辛島裁判官は執行猶予にした理由として「報酬が多くない」「従属的だった」「被害者と示談が成立している」ことを挙げた。その上で、山田被告に「普通の日常を行うことが大切だ」と諭した。

 山田被告は2013年から19年までSKE48に在籍。同世代が高校や大学に通ったり、アルバイトをしたりして世間を知っていく多感な青春時代をアイドル活動に費やした。アイドルという肩書をなくし、芸能界という“別世界”から一般社会に戻ってきたが、山田被告には実社会をサバイブできる能力はまったく身についていなかったようだ。

山田樹奈(本人のTwitterより)

 山田被告は被告人質問でこうも話している。

「アイドルをやっており、社会経験がありません。世の中のことがよくわからないままに、詐欺グループに入っていました」

 現在は別のまっとうな仕事を見つけて働いているという山田被告。いまはアイドル全盛時代。活躍できる時間が限られるアイドルのセカンドキャリアは、今後議論されるべきなのかもしれない。