まとまったスケジュールを取った俺たちは、バンドの方向性を固めるために「合歓の郷」へ合宿に行った。そこで最初に作ったのは、ベース、ドラム、キーボードというトリオ編成の曲で、俺のクラビネットとマーちゃんのベース・ラインをユニゾンさせたりして……ある種、プログレッシブな音楽性だった。その時のアイディアは、のちに「Depression」や「Get High」で形になっているよ。加えて、ジョニーはもともとチェックメイツというグループでボーカルを担当していたこともあって、ふたりで一緒にハモれるのは新鮮で楽しかった。
俺はずっと一緒にやりたかった人と演奏できる「うれしさ」を噛み締めていた。やっぱりJL&Cは、俺にとって初めてのパーマネントなバンドだったからね。本来なら、デビューした時の4人がそうなるはずだったんだけど……そうはいかなかったから俺の心の根底にはずっと「バンドがやりたい」って気持ちがあったんだ。JL&Cを組んだ1978年は、すでにジミ・ヘンドリックスやクリームの時代ではなかったけど、心のどこかで「ロック・トリオ」に対するあこがれは少なからずあったように思う。ただし、ジミヘンやクリームと同じことをやろうなんて気持ちは微塵もなかった。それよりも「この3人で何を表現できるか?」がすべてだった。俺はJL&Cで世界を相手に勝負したかったんだ。
「Smoky」「Shinin' You, Shinin' Day」もやっていたけど…
ジョニーはソウルやR&B、マーちゃんはブリティッシュ・ロックやブルースといった具合に、ベーシックとなる部分が全然違う3人だからこそできる表現に大きな可能性を感じていた。3人で音を鳴らすと、自分ひとりでは思いつかないような音楽が生まれてくるのがものすごく楽しかった。そうやってクリエイティブになる瞬間もあれば、逆にフラストレーションを感じる時もあって……バンドを解散するまで、ずっとそのせめぎ合いだったね。JL&Cでは「Smoky」や「Shinin' You, Shinin' Day」のような曲もやっていたけど……ピッタリとハマる時もあれば、そうでない時もある。天気みたいなもんだよ。ひどい時は本当にひどい。天才3人が集まった最高の音楽が生まれる時もあったし、逆に最低なアマチュア・バンドになってしまうこともあったからね。(#2に続く)
Text : Masaya Bito
2021年12月11日(土)には、デビュー45周年記念ライブ「Char 45th anniversary concert special」が東京・日本武道館で開催される。