あなたはギターを弾いてみたくならないか? もっとギターがうまくなりたいと思わないか? もういちど最初から練習し直そうと思わないか? あなたのギター愛に火を灯す、心のレッスンを開講!(文春ムック「竹中尚人責任編集 ロックとギターをめぐる冒険」より。#1#2を読む)

Char Photo : Shigeki Yamamoto

Chapter 1「ギターに毎日触るべし」

 ギターを初めて手に入れてから50年以上、毎日欠かさずギターを触っているんだけど……なんか自然と手が伸びてしまうんだよね。1日に何度も触ることもあれば、1回しか手に取らない時もあるけど、もう持ってないと落ち着かないんだよ。旅に出る時も持っていくしね。やっぱり自分の宝物ってさ、毎日眺めたくなるじゃん? 今もそんな感覚がずっと続いているんだよね。

 しかも毎日弾いていると、いまだに「新しい発見」をするんだよ。それが楽しいんだよね。例えば……日課として必ず弾くのが、童謡の「赤とんぼ」、ザ・ベンチャーズの「ブルー・スター」、スティーヴィー・ワンダーの「ユー・アンド・アイ」の3曲。それを原曲どおりに演奏するのではなく、毎回アレンジを変えながらギター1本だけで成立させられるように弾くんだよ。それが俺にとっての「練習」と呼べるものなのかもね。

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『天邪鬼Amano-Jack』Char

「赤とんぼ」は、16年前の『天邪鬼Amano-Jack』(2005年)で「エレキ・ギター1本で表現してみよう」と取り組んだのがきっかけで、いろんなアレンジを試しながら今も弾き続けている。「シンプルなメロディをいかに新しい響きで彩れるか?」ってことは、自分にとってもすごくチャレンジなことで、やっていて飽きないんだよ。Cのコードでも、C/Eなのか、C/Gなのかで響きの表情は変わってくる。聴いている側にとっては「夕陽の沈み方の違い」くらいの変化かもしれないけど、俺にとってはとても重要なことなんだ。