1922(大正11)年、人間としての尊厳と平等、差別からの解放を求め被差別部落民自身が立ち上がり、創立された「全国水平社」。終戦直後の1946年、その「水平社精神を受け継ぐ」として結成されたのが「部落解放同盟」である(結成当初は「部落解放全国委員会」)。
その部落解放同盟が来年3月3日、前身の水平社創立から100周年を迎える。だが、その大きな節目を前にして、直面しているのがインターネットにおける深刻な部落差別問題だ。
1998年から部落解放同盟のトップをつとめる組坂繁之中央執行委員長が、ノンフィクションライターの西岡研介氏のインタビューに応じ、新たな部落差別問題についての考え方を語った。
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――2022年3月に、全国水平社創立から100年を迎えるにあたって、どのような思いがありますか。
「解放運動が、社会運動として100年続いてきたことは私たちの誇りではあります。が、その反面、部落差別が完全に無くなっていないということは極めて残念です。そういった2つの思いを抱いています」
――「ネット版 部落地名総鑑事件」のように「ネット上での新たな部落差別」が大きな問題となっています。
「今はプロジェクトチームを作って、取り組んでおりますが、結論から言うと、国が1日も早く、独立性のある『人権委員会』を設置することですよ。インターネットのモニタリング(監視)も大切ですが、それはやはり対症療法に過ぎない」
――今回の「ネット版 部落地名総鑑事件」の判決では、計16県の地区について公開禁止の対象から除外されました。