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「部落差別がなんたるか分かっていません」
「あの裁判官たちは、部落差別がなんたるか分かっていません。『差別されない権利』についても一顧だにしようとしなかった。部落差別はもともと、『地区』(に生ずる差別)ですから。その地区に生まれた、住んでいる、あるいは先祖がそこに住んでいたことによって差別を受けるわけだから。それを『個人のプライバシー侵害』という狭い領域で捉えたところに問題があると思っています」
――今回の事件では、行政や司法の限界が見えました。
「やっぱり、これ(ネット版 部落地名総鑑事件)は、腸が煮えくり返るような思いですよ。だから1975年の地名総鑑事件の時にも、本当に夜が明けるまで糾弾闘争をやったわけです。あの時は、同盟員の皆さんをはじめ、様々な人たちに部落差別を無くすための努力をしていただいた。それを一瞬にして、水泡に帰すような……。(ネット版)部落地名総鑑は断じて許されるものではないですよ。もう一度、あの糾弾闘争の原点に返って戦術を考えんといかんとは思っています」
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月刊「文藝春秋」2022年1月号(12月10日発売)ならびに「文藝春秋 電子版」では、ノンフィクションライター西岡研介氏による「部落解放同盟の研究」を掲載。「ネット版 部落地名総鑑事件」だけでなく、1974年の八鹿高校事件、2006年の飛鳥会事件なども振り返り、組坂委員長へのインタビューを含め10ページにわたって報じる。
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部落解放同盟の研究 第1回