だが、例外はいつでもある。女性グループ「少女時代」出身のユナは、2007年から端役でドラマ出演していたが、「ラブレイン」(2012年 KBS)、「総理と私」(2013~14年 KBS)、「THE K2~キミだけを守りたい~」(2016年 tvN)を経て、今なお、女優として活躍中である。2017年のグループ活動休止後は、女優としての比重が高くなっているようだ。1990年生まれで、既に30代だが、映画初主演作の「EXIT イグジット」(2019年 監督:イ・サングン)がヒットし、これからの活躍が期待される女優の一人となった。
BTSメンバーの韓国ドラマ出演の可能性
Kコンテンツの象徴として、またK‐POPの代表的な存在として、世界を席巻しつつあるBTSは、ビートルズと比較されうる、21世紀唯一のグループといわれている。メンバー全員の2022年までの兵役義務が、韓国の国家判断で1年延長されたことが一般ニュースともなったのは記憶に新しい。
グラミー賞受賞はならなかったが、BTSの活躍と外貨獲得は、オリンピックのメダル獲得にも匹敵する快挙である。世界のクリエイティブなコンテンツの中心は韓国だと世界中にアナウンスしているようなもので、兵役延長の国家判断は決して間違ったものではない。韓国が自国のコンテンツをそれだけ重要視している証でもある。
所属事務所である「HYBE」は、メンバーたちと2026年までの契約を結んでいるというから、23年からの2年半の兵役後の活動も計画中なのだろう(現在は兵役中に発表するCD・DVDを製作中とも伝えられている)。
しかし、その中にメンバー個別の俳優活動はおそらく入っていないだろう。グループの本分は音楽のジャンルで世界を制覇することであり、俳優業に時間を割く意味も時間もない。彼らにとって俳優業は余技にすぎないと思われているのか、まだその気配さえない。だからネット配信のドラマ製作であっても、除隊後の再契約の時に想定される選択肢の一つでしかない。
世界で3000万人以上のフォロワーを持つグループの一挙一動は世界のエンタメ市場を大きく左右する。特別な存在であるがゆえに、ドラマ・映画の俳優という場からは最も遠い位置にいるスター・グループといえるだろう。
ただ一つ、ネット配信の韓国製作ドラマにBTSの曲を使用した際、宣伝の一環で、メンバーの誰かがドラマ内にゲスト出演することはあり得ない話ではない。その実現には除隊を待たなければならないかもしれないが。筆者の推測では、兵役中の時期にあらかじめ製作していたそうしたアイテムを発表するのではないかと思う。そのドラマが長期放送であればあるほど、全世界のARMY(BTSの熱狂的なファン)たちの兵役中の空白の飢餓感を埋めることにもなるからだ。
いずれにしろ、メンバーたちの入隊・除隊は、現代のビートルズともいえるBTSの決定的な転機であり、この時期をどう乗り切るかがKコンテンツの未来を左右する。K‐POPの将来の展望はまさにその一点にかかっているといっても過言ではない。
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