多額の借金を抱えたワケありの人たちが、命を引き換えに人生逆転ゲームに参加するーー今話題となっている韓国ドラマ「イカゲーム」は古今東西で作られ続けてきた“デスゲームもの”だ。

 その決して目新しくない題材の作品が、公開からわずか20日足らずで全世界のNetflixにおける視聴ランキング1位となった。これは昨年日本でも大ブームとなった「愛の不時着」「梨泰院クラス」も成しえなかった記録だ。同時期にイギリスのヒット作「セックス・エデュケーション」の最新シーズンが配信開始されていたことも鑑みると、なかなかの番狂わせである。

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 筆者も見始めたら止まらず、残忍なシーンに目を覆いながらもたった2日間で見終わってしまった。韓国での報道や個人の見解も交えながら「イカゲーム」が世界中を魅了したポイントについて述べていく。

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海外でも通じる「ユニバサーサルデザイン」なストーリーとゲーム

 これまで「デスゲームもの」は日本産エンタメの十八番だったといっても過言ではない。「GANTZ」「神さまの言うとおり」や日本のNetflixオリジナル作品「今際の国のアリス」まで、例を挙げるとキリがないほど。中でも今作は「賭博黙示録カイジ」との類似点が取り沙汰されている。

 監督のファン・ドンヒョク氏もアメリカの雑誌「VARIETY」のインタビューの中で「かつて経済的に貧しかった時期に『バトル・ロワイアル』『ライアーゲーム』などの漫画を読みながら過ごした」と語っており、「イカゲーム」には日本作品のエッセンスが生きているのは間違いないだろう。

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 そして欧米でも「SAW」シリーズや「キューブ」「ハンガー・ゲーム」など古くから「デスゲームもの」は存在する。どの国の人が見てもおおよその物語の流れが分かる土壌ができている。そしてジャンルの特性上、従来の韓国ドラマファンではない層、男性視聴者にも受け入れられたのだろう。