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 捜査本部は、過去にこのビルや店に出入りしていた中国人らにも捜査の手を広げることにした。だが犯人を特定できる情報に行きつくまで、思った以上に時間がかかった」(同前)

 その理由の1つに警察関係者Aは監視カメラをあげた。

防犯カメラの精度が悪く、台数が少なかった

「歌舞伎町周辺で50台あまりの監視カメラが取り付けられたのは、この事件後の2002年2月。今ではまず監視カメラや防犯カメラをあたり、そこから情報収集するのが優先されるが、あの時は靴底を減らしてとよく言われたように、自分の足で聞き込みするしかなかった」

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 新宿歌舞伎町の喫茶店パリジェンヌで、暴力団幹部ら2人が中国マフィアに拳銃で襲撃された“パリジェンヌ事件”の早期解決に貢献した監視カメラは、この時まだ設置されていなかった。店などに取り付けられていた防犯カメラも、今よりも精度が悪く台数も少なかったのだ。

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 だが、聞き込みを行うにも日本人相手のようにはいかない。外国人犯罪に詳しい警察関係者Bはこう説明する。

「中国は広い。中国人だとわかっても出身地によって大きく違う。地域によって民族も言語も異なる。そのため、情報を得るにも、おのずと手法を変えなければならなかった」

国際捜査課では地域別にある特徴が見えていたよう

 国際捜査課では中国人に限らず、様々な国籍の人々の特徴や民族、宗教による違いを把握し、事件解決に役立てようとしていた。さらに当時の新宿では、中国人が同国人を襲う事件が多発していたことから、襲われた被害者から、中国人の地域性や民族性による特徴や違いについて情報を集めていたのだ。

「海外に出ると、詐欺でも強盗でも同国人を狙うという心理はよくわかる。俺たちでも、他の国にいる時に狙うなら、まずは日本人からだ。近づきやすいし、どう反応するか、どう行動するかわかりやすいからな。だが、やつらはやり過ぎた。あの頃の歌舞伎町では、やつらは怒羅権(ドラゴン)を始めとして出身地ごとにグループを作り、新宿にのさばっていた」(暴力団関係者)