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オミクロン株“穴だらけ水際対策”の杜撰な実態…「トランジット国を“滞在国”で提出」「出入国スタンプのページを破る」

2021/12/10

genre : ニュース, 社会

経由国を『滞在国』として申請すると…

 12月6日、「指定国」のひとつから総勢4人で帰国したという男性は、悪びれることなくこう話す。

「指定国から帰国者を迎える検疫が、時間もかかって非常にストレスフルなものだということは、ネットなどで得た情報で知っていました。なので、それを逃れる方法について帰国前からみんなで話していました。私たちの帰国便は直行ではなく、指定国ではない第三国で乗り継ぐ経由便だったので、その第三国を『滞在国』として申請することで、指定国に滞在したことを隠せるのではないかと考えました。バレたら『間違えた』と言うつもりでした」

検疫に並ぶ人たち。長蛇の列ができている 乗客提供

 しかし、果たしてそんな自己申告を検疫所が鵜呑みにするのだろうか?

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 そういった虚偽申告を画策する帰国者を防ぐために、パスポートに指定国の“スタンプ”がないか係員が目視で確認するはずなのだが…。

パスポート破損に気づかぬ係員

「『指定国・地域への滞在なし』となったオンラインの質問票の結果を係員に提示すると、私のパスポートのページをパラパラと一通りめくりましたが、指定国のスタンプは見つからなかった。ほかの3人も同様にやって通過できていましたよ。公私ともに海外に出かけることが多い私たちのパスポートには、多数の国のスタンプが押してあります。指定国のスタンプが目立たなかったのか、係員は見つけることができませんでした」

UAE便の乗客たち。陰性証明やワクチン証明の提示が求められる 乗客提供

 ちなみに男性の知人の1人は、さらに不敵な方法で検疫を突破していたという。

「指定国の出入国スタンプが押されたパスポートのページを、破って捨てていたヤツがいたんです。パスポートはそれぞれのページに通し番号が書かれてあるので、抜けている番号があればすぐにバレそうなものですが…結局気づかれなかった。パスポートをチェックする係員には、南アジア系や中国系などの外国人もいたので、おそらく大半が臨時で雇われたアルバイトだったのではないでしょうか。その後の入国審査も、自動化ゲートを通ったので、ページの破損は問題になりませんでした」