20代女性が観る映画の1本として選ばれるように…
――確かに、成長したどれみたちの恋愛やバトルを描く映画になっていたら、「ちょっと違う」となったかもしれません。
関 私もそう思ったんです。小説とか、一部限定の読者向けにそういうものを作っていくことは出来ますけどね。「アニメになるときには、みんなが観たいのはあのどれみちゃんたちじゃないの?」という思いもありました。「自分はもう大人になっちゃったしなぁ……」と思って成長した子が、特別にアニメのオタクというわけではないけれど、観に行く映画の1本として選ばれる作品になるように作りたかったんです。
テレビアニメの立ち上がりの時と同じように「誰に観せるのか? 20代の女性である。じゃあ20代の女性のことを研究しよう」というところから始めました。世代もちょっとバラしたんです。「どれみ」をリアルタイムで観てた子。リアルタイムには間に合わなかったけど、後から再放送や配信で観た子。リアルタイムだったけど、海外で観てました、という子。3タイプに分けることによって、「どれみ」のファンだけではなく「『どれみ』って歌は憶えているけど、そんなにお話のことは憶えていないな」という人でもちょっと共感を持ってもらえたらいいな、って。
「飲みのシーンが多過ぎたかな?」と反省しています
――『魔女見習いをさがして』で、一番観て欲しいポイントはございますか?
関 あります! 主人公のソラ・ミレ・レイカの3人が、京都で酔っ払ってしでかす事件があるんですけど、そこでたどり着く結論と、そのシーンにどれみたちがどういう風に関わってくるかが見どころだと思っています。大人になって嫌なことがあったりするとね、色々とやらかしてしまうことがあるんですよ。してる? ちゃんとしでかしてる(笑)?
私なんか数限りなくやらかしてきましたから、よく解るんです。今、主演をされている役者さんたちは、飲む方が一人しかいないみたいです。たしかにそういう時代ではあるので、映画の中で飲みのシーンが多過ぎたかな? と反省しています。ちょっとそこが時代の感覚が違うかもしれません。それは私と栗山さんとサトジュン(佐藤監督)のせいです(苦笑)。
――最後に関さんから、『魔女見習いをさがして』をご覧になるファンのみなさんにメッセージをお願い致します。
関 仮に「どれみ」を観ていなかったとしても、20代の女性のことを丁寧にマーケティングして、色々なことを調べた上で作っています。青春ロードムービーとして、人生の選択に迷っていらっしゃるお嬢様たちにはぜひ観ていただきたいと思います。
このインタビューは2020年11月に発売された「おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全」に収録されたインタビューを一部転載したものです。
せき・ひろみ/1959年生まれ。福井県出身。『おジャ魔女どれみ』を創出したシリーズプロデューサー。女性(女児)向けアニメーション作品のプロデュースを数多く手懸け、“ニチアサの母”と呼ばれている。主な代表作は『ママレード・ボーイ』(’94年)、『ご近所物語』(’95年)、『花より男子』(’96年)、『夢のクレヨン王国』(’97年)、『明日のナージャ』(’03年)、『デジモンアドベンチャー』シリーズ(’99年~)などがある。