インターネットやSNSで、日本製品不買運動を煽る投稿を見つけることは難しくなったし、ときどき目にする「ノー・ジャパン」を煽る投稿には「勝手にやれ」「まだ文在寅に利用されているのか」などと批判するコメントが返されている。
今や韓国の若者たちは誰の顔色もうかがうことなく「イエス・ジャパン」を宣言し、日本の雰囲気が感じられる飲食店や観光地を探し回っているのだ。
若者に人気のすき焼き専門店に行ってみると……
実際、インスタグラムで「日本料理店」と検索すると、ソウルをはじめ韓国各地の日本料理店の写真や動画が数え切れないほど投稿されている。韓国大手ポータルサイト「ネイバー」のコミュニティにも、韓国内の日本食レストランの情報が数多く掲載されている。
そこで筆者は「ウィズ・コロナ」が宣言された直後、多くの若者がインスタグラムに掲載していた大型ショッピングモール「コエックス」に隣接するすき焼き専門店「日常庭園」を訪れた。コース料理は2万ウォン(約1930円)前後で、他のメニューも決して安いとはいえないが、20〜30代の若者で混み合っていた。
ここのウリは「わたあめすき焼き」。ふわふわなわたあめの上からタレをかけて溶けるのを楽しむ料理だ。2018年に日本ではやったこのメニューを韓国でも味わえるとあって、店は常ににぎわっている。若者たちは料理写真を撮るのに忙しく、日本での体験を思い出しながら、箸で卵を溶かして肉と野菜を頬張っていた。人目を憚ることなく、日本料理を楽しんでいるのだ。
新たな“日本風スポット”がオープン
ソウルから北へ車で約1時間半。京畿道東豆川(トンドチョン)市に新しくオープンした観光スポット「にじもりスタジオ」が賑わいを見せている。ここも日本の雰囲気が感じられる場所だとSNSで広がった。
「にじもりスタジオ」はもともと、ドラマや映画の撮影所として作られた。歴史ドラマで日本ロケを行うとスタッフの移動費がかかるので、東豆川から撤退した米軍の訓練場跡地に投資を募って建設されたのだ。江戸時代の日本の街並みを再現したという触れ込みだ。
ところがコロナ禍の影響で映画やドラマの撮影が少なくなって、撮影所の運営会社は収益が落ち込んだ。また、撮影所がある東豆川市も米軍が撤退して以後、地域経済が落ち込んでいる。新たな収益源を求める運営会社と観光の目玉が欲しい自治体の思惑が一致して、今年9月、京都の街並みをイメージしたテーマパーク「にじもりスタジオ」がリニューアルオープンした。
運営会社は、反日感情を憂慮して宣伝を控えたが、オープン直後の週末には300名余りが来場し、週末を重ねるごとに多くの若者たちが押し寄せている。
スタジオ内には大きな池や食堂と旅館などがあり、大型家具から湯呑みなどの小物まで、備品のほとんどを日本から購入したという。