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摘発の背景にあった「新型コロナの影響」
密かな人気を誇っていた色街では、参入したいオーナー候補が店舗の空きを待つ順番待ちの状態にあったという。
「家賃や組合費などの経費は月30万円ほど。それでもおいしい商売になる。限られた店舗の空きを狙って何十人もが待機していたからね。前のオーナーから商売の権利を買った知人もいたが、300万円やったと聞いた」(同前)
だが、各店とも風俗営業の許可は取っておらず、「飲食店」の登録で実質的な売春営業を続けていた。風営法は、風俗営業ができる店舗の立地要件を細かく定めている。住宅街は不可で、商業地や工業地でも近くに学校や病院などがあると許可は下りない。かんなみ新地の一帯は商業地に分類されているが、わずか数十メートル先には市立小学校がある。
「あんなところで今更、風俗営業の申請されても許可など下りるわけがない」と兵庫県警関係者も言う。
だが、かんなみ新地で飲食店名目の風俗営業が行われているのは今に始まった話ではない。なぜ70年も続いた「黙認」が急に絶たれたのか。ここでも新型コロナの影響が背景にある。
「昨年春の第一波で全国の飲食店が一斉に休業や営業時間短縮を迫られた時、ちょんの間があるような花街はどこも一斉に閉めた。けど、かんなみは続かんかった。思いのほか休業要請が長引いて、緊急事態宣言が明ける前から我慢できずに開け出しとった。『あんなところでクラスターでも発生したらどうするんや』っちゅう苦情が近隣住民からもあったようですわ」(地元企業経営者)