早いもので2021年も師走を迎えました。これから年末年始にかけては、地元への帰省や国内外への旅行などで、さまざまな公共交通機関を使う方も多いのではないでしょうか。特に今年は数年来の懸念であったコロナ禍が落ち着きつつあるだけに、これまで以上の混雑やラッシュが予想されています。

 さて、そんな中で考えたいのが高齢者や障害者、小さな子供を連れた子育て世代など、電車やバスの利用に制約を感じる人たちのことです。中でも今回注目したのが、多胎児を育てる家族のケース。彼らが公共交通機関を利用するときには「高いハードル」が存在するそうです。今年2月に女の子の双子を出産し、現在絶賛子育て中の元バレーボール日本代表・大山加奈さんに、その難しさとリアルを聞きました。

大山加奈さん 本人のブログより

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双子用ベビーカーで出かける「ハードルの高さ」

 今年2月に双子を出産してから、しばらくはなかなか「公共交通機関を使おう」という気持ちになれずにいました。まず一番のハードルが「2人同時に泣いたらどうしよう…!」ということです。赤ちゃんが1人だったら抱っこしてあげれば泣き止むことも多いと思います。でも、2人が泣いてしまうともう、お手上げになってしまう。そうなると、どうしても周りの目が気になってしまうという多胎児のパパ・ママは多いのではないでしょうか。私自身もそんな思いもあって、勇気がなかなか出なかったんですよね。

 ようやく初めて双子を連れて電車に乗るのに挑戦したのが、出産から半年以上が経った10月のことでした。

 JRの山手線と京浜東北線を乗り継いだんですが、実際に自分で乗ってみると、双子を連れた移動のハードルの高さを実感しました。例えば、山手線は各車両に車いす・ベビーカーゾーンがあるんですが、京浜東北線は1号車と10号車にしかありません。乗り換えるときもホームが狭いので、その車両までたどりつけないことが多かったです。

ベビーカーゾーンがある車両でも…問題が!

 そうして車いす・ベビーカーゾーンのない車両に乗ってしまうと、居場所がドア付近しかなくなってしまう。ただ、双子用ベビーカーだと幅も広いし、乗り降りする人の邪魔になってしまうので、すごく恐縮してしまうんですよね。

写真はイメージ ©️iStock.com

 仮にうまく優先ゾーンのある車両に乗れても、そこに立ってらっしゃる乗客の方がいるケースもあって。ベビーカー連れで入っていっても、スペースを空けてくれないことがあり、「移動してくれないかな…」と困ってしまいました。