文春オンライン
「不法侵入、シンナー、後輩にヤキ入れ。財産は仲間と絆」元バリバリの“特攻狭山”幹部が明かす“ヤンチャのリアル”《「東京リベンジャーズ」で増加する暴走族》

「不法侵入、シンナー、後輩にヤキ入れ。財産は仲間と絆」元バリバリの“特攻狭山”幹部が明かす“ヤンチャのリアル”《「東京リベンジャーズ」で増加する暴走族》

note

10代の少年が「『特攻狭山』を復活させよう」

 9月、埼玉県狭山市で、県警少年捜査課と所沢署が、暴力行為法違反(集団的暴行)の疑いで、同県入間市に住む16~17歳の高校生の少年3人を逮捕した。逮捕容疑は所沢市の公園で無職男性(17)に殴ったり蹴ったりする暴行を加えたというものだった。

 あまり大きなニュースにはならなかったが、「1980年代に活動した暴走族が20年ぶりに復活し、逮捕少年はそのメンバーだった」と報じられたことで、インターネット上で注目を浴びた。「特攻狭山」というかつて同地域で活動していた暴走族なのでは、と盛り上がっていたのだ。

 バイクや族文化に詳しい地元狭山のYouTuber・サヤメンズのリーダー、タツヤンさんはこう語る。

ADVERTISEMENT

「10代の子の世代で、『特攻狭山』を復活させようという話があったみたいですね。実際、あの事件を起こしたのもその子たちのようです。コロナ禍で夜にカラオケや飲み会にいけなくなって鬱憤がたまっていることもあるでしょうし、『東京リベンジャーズ』の影響で暴走族に憧れる子たちが増えている印象です。知り合いの10代の子の彼氏も、『東京リベンジャーズ』に憧れてバイクが好きになりました」

左からタツヤンさん、内藤光雄さん、下田直行さん ©文藝春秋

 タツヤンさんのおじである下田直行さん(61)は元特攻狭山の幹部でもあったそうだ。取材班は当時の暴走族の実態について話を聞くべく、下田さんに取材を依頼した。すると下田さんは快諾してくれ、取材当日には同じく元特攻狭山の特攻隊長だった内藤光雄さん(61)とタツヤンさんも同席した。当時は「イケイケだった」というが、現在は感じの良い兄貴肌の2人だ。

 下田さんは「特攻狭山」結成の経緯をこう振り返る。

下田さんと内藤さんがいた頃の「特攻狭山」(タツヤンさん提供)

「結成は1977年、発起人は全員17歳で4人でした。高校はバラバラでしたが同じ中学の同級生でした。当時はブラックエンペラーとかスペクターといった全国ネットの大きなチームに入っている同級生がいて、俺らも参加したりしていたけど、自分たちのチームがほしいなと思って。実は狭山には、俺らよりも前に特攻狭山というチームがあったんです。それで『復活させちゃう?』みたいな軽いノリで始めました。

 地元狭山にはヤンチャが多くて、後輩もすぐに付いてきて。2歳下の代までで最盛期には140~150人くらいいたと思います。厚木とか湘南まで走りに行って、台数多くてすげえなと言われていましたよ」

 活動内容は主に、集団での暴走行為だ。土曜深夜に集まり神奈川方面などへ向かってバイクを走らせた。日曜昼間に新宿などの繁華街へ行くこともあり、ヘルメットもせずに爆走していたという。