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――自分の声は、喋るかぎり付いて離れないものですしね。そもそも、わふこさん自身はどういったことがきっかけで自身が女性だと気づいたのでしょう。

わふこ 中身が女性というよりは、「なんだか、この体は違うぞ」みたいな感じだったんです。

 性別というものを明確に意識し出したのは、たぶん小2とか小3ぐらいで。それまでは性別というものを意識していなかったんですね。男だから男子の列に並んだりとか、男だから男子トイレに入るということに違和感を抱かずに「こういうものだから」って。

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 でも、学校の授業を通して生き物のオスとメスについて知っていくうちに、自分なりに男女の区別みたいなものを考えていって。それで、どんどん成長していくにつれて、体が大きくなったりして。

 そういう二次性徴みたいなのがすごく嫌だったんですけど。そのあたりは、どんどん変化していくものだぞと覚悟してはいたんですけど、やっぱりつらくて。

「もしかしたら、この人そうなのかな?」と思っていた

――そうしたつらさを抱えながら結婚し、夫として生活を送っていたわけですが、つしまさんはそんなわふこさんを「中身が女性」なのではないかと思うようになったと。

つしま もともとあんまり男性的なところがないというか、少ないというか、おしとやかだなという印象を抱いていたんですよ。再会して私を助けてくれた時も、頼れる彼氏とかたくましい旦那みたいな感じというよりは、ママ感があったみたいな感覚で。母性。優しいママ。世話を焼いてくれるお母さん。そういう感じだったので、男性感は薄かったなと。

 ただ、高校の時はそんなふうには思ってなかったですね。まぁ、おしとやかではありましたけど。やっぱり、グッと距離が近くなってからのほうが感じたり、思ったりするようになったんじゃないですかね。特に一緒に暮らすようになってからとか。

――なるほど。そこで、「もしや」と。

つしま 私はトランスジェンダーの概念を知っていたので、「もしかしたら、この人そうなのかな?」とフワッとは思っていましたね。

 実際、何回か「そうなの?」と聞きましたけど「まだ分かんない」みたいに答えてました。覚えてないですか?

わふこ 覚えてないですね。

つしま すぐ忘れますね(笑)。答えるというより、「なんかよく分かんないや」ぐらいの感じで。あんまり真面目に聞いてなかったし、答えてもくれなかったかな。