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「野党は批判ばかり」というイメージを広めたのは誰? 安倍晋三「虚偽答弁118回」をスルーした菅義偉の“ご都合主義”

2021/12/21
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「野党は批判ばかり」と言う人にオススメのブログ

 先週はギョッとするニュースが各紙の一面に並んだ。『国交省 統計書き換え』『森友 決裁文書改ざん訴訟 国が幕引き』である。後者では、自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんは国の対応は「不意打ちでひきょうだ」「お金で済む問題でない」と悔し涙を流した。

 私は先ほどの岸田首相の見出し『「聞く力」で野党かわす』を思い出した。一見すると低姿勢に見えるが、肝心なことは明らかにしないでさっさと終わらせる手法。これは赤木さんの訴訟幕引きと同じ構造である。こんな状況が繰り広げられる今、野党がきちんと批判しないで誰がするのだ。

「聞く力」でかわす岸田文雄 ©JMPA

 それでも「野党は批判ばかり」と言う人には、ある方のブログをおススメしたい。菅義偉氏である。過去の国会答弁やブログを調べると、自民党が野党だった2009~12年には政権の座にいた民主党を鋭く追及していた。野党時代の菅氏は的確な権力批判、監視をしていたのだ。

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過去の発言が強烈なブーメランに

 昨年、私は毎日新聞の記者とともに菅氏の過去ブログを調べたことがあった。菅さんのブログは読みどころ満載だった。

 たとえば「お答えを差し控える」という大臣の発言を「全く不真面目で国民を冒涜する発言」と批判していた(10年11月の投稿)。さらに「官僚の原稿を棒読み」も批判していた(12年4月の投稿)。

 当時の野田政権下の田中直紀防衛相の国会答弁について、

《官僚の原稿を棒読みし、失言を恐れた官僚にあわてて打ち切られる会見の映像を見て、情けなさを通り越して恐怖すら覚えました。》

《答弁のたびに後ろに座る官僚の説明を受ける姿を「二人羽織」「千手観音」と揶揄される有様です。》

 素晴らしい。しかし首相になった菅氏もお答えを差し控えるやら棒読みを連発していたのだが……。