ここで、悠仁親王の成長ぶりを伝える話を披露したい。「自主的に動く(略)ようになってきたと思いますし、自分の意見もはっきり言うようになったなという印象は私にもあります。一方、自分の主張だけをどんどんするのではなくて、人の話にもきちんと耳を傾けるようになってきたなと思います(略)人のことを思いやる気持ちというのは、以前よりも増してきたなと思います」
国民や他者を思いやる心をしっかりと身に付けた人格者に
これは、18年秋の誕生日会見で秋篠宮が述べたものだ。「人のことを思いやる気持ちというのは、以前よりも増してきた」という箇所に、特に注目して欲しい。
1983年12月の会見で上皇(当時は皇太子)は「好きな言葉に『忠恕(ちゅうじょ)』があります」と、答えたことがある。「忠恕」というのは、他人の立場になって考える、思いやりのある心のことだ。古くから道徳や政治の根本理念として知られる「仁」もまた、思いやりやいつくしみを意味する。
「私が、私が」という私利私欲が横行する社会や政治ではなく、人々の思いやりに溢れた世の中の実現を目指したい。悠仁親王は、天皇や秋篠宮の次の世代の皇室を担う大きな役割を持つ。今後の進路は気になるところだが、悠仁親王には、是非とも父や祖父が求めてやまない、国民や他者を思いやる心をしっかりと身に付けた人格者として育ってほしいと、願っている。
◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2022年の論点100』に掲載されています。
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