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——カズは今も現役を続けていることはご存じでしたか?

呂比須 ああ、知ってるよ。

——しかし今年はさすがに出場機会が少なく、得点はゼロ。来年2月には55歳になります。

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呂比須 それは厳しいね。彼は、まだプレーを続けるのかな? そもそも来年、彼と契約するクラブはあるの?

——現在所属している横浜FCを含め、オファーを出しているクラブが9つあります。

呂比須 へええ、そうなの? だったら(現役を)続けたらいいじゃない。僕は故障した左膝が治らず、33歳で引退した。でも故障さえなければ、52歳の今でもプレーしたい。僕にはカズの気持ちがよくわかる。サッカーが本当に好きだったら、いくつになってもプレーしたいもの。オファーがなければ仕方がないけど、あるんだったらプレーすればいいよ。

1998年W杯メンバーから落選した時の帰国会見 Ⓒ文藝春秋 撮影・三宅史郎

物腰は柔らかいが、物言いは率直

 呂比須ワグナーは、幼くして父親を亡くし、少年時代から働いて家計を助けながら、プロ選手を目指した。そして18歳にして、母国とは言葉、食事、気候、メンタリティー、プレースタイルのすべてが大きく異なる地球の反対側へ降り立ち、7クラブを渡り歩きながら“ジャパニーズ・ドリーム”を掴んだ男だ。それだけに、芯が強い。

1998年ワールドカップ最終予選での呂比須ワグナー Ⓒ文藝春秋 撮影・佐貫直哉

 物腰は柔らかいが、率直な物言いをする。日本のサッカーとカズをよく知る男が、今回も忌憚のない意見を聞かせてくれた。